歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

2017-01-01から1年間の記事一覧

仇討ちとしての#Metoo運動

著名な女性ブロガーはあちゅうさんが、電通勤務時代に先輩から受けたパワハラ・セクハラについて、Buzzfeedの取材陣、著名ライターよっぴー氏の応援を得て、実名で告発。 電通をやめて独立したばかりのその先輩氏はそれを認め、会社を事実上たたみ、現代版の…

古代中国にとってネコか杓子だった古代日本

2017年に刊行された古代の本の中では、内容的には最大の話題作といえるのではないか、と思っているのが、小林青樹『倭人の祭祀考古学』(新泉社)。 倭人の祭祀考古学 作者: 小林青樹 出版社/メーカー: 新泉社 発売日: 2017/08/16 メディア: 単行本(ソ…

稲荷なのに仏教寺院の豊川稲荷

お稲荷さまといえば、伏見神社(京都)。そのつぎに有名なのは 豊川稲荷(愛知県豊川市)ではないでしょうか。 豊川稲荷は妙厳寺という曹洞宗の寺院で、稲荷神社ではないのです。 なぜお寺が稲荷なのか、その歴史について寄稿しました。 bushoojapan.com な…

政界とユーチューバー界の栄枯盛衰に思いを馳せる平成29年の師走

前回のエントリは3ヶ月前の9月19日でした。 そのときにネタにしたのが emiyosiki.hatenablog.com 「えっ?衆院選ってまだ3ヶ月経ってないの!」と、ちょっとびっくり。 上を書いた9月19日時点では、正式に解散すらしておらず、 【400年前】 石田…

関ヶ原の合戦と安倍首相の衆院解散がなんとなく似ている

9月15日は関ヶ原合戦の日♡ 今年2017年は、人気ツイッター石田三成さんがスマホの通知画面で中継して盛り上がっていました。 twitter.com その興奮も収まらない中、現実の世界では、安倍首相が衆院を解散するという報道が出されました。 今回の解散劇…

国宝の仏画はアートとして作られたのではなかった!キリ

滋賀県大津市の三井寺(圓城寺)の秘仏「黄不動像」(国宝)を模写した、これまた国宝の仏画に、下書きのような小さい不動さまが描かれていたことがわかったそうです。 それは本体の下書きというよりも、仏画に魂を入れるといえる儀式のためのもの。 各マス…

進撃の巨人23巻ネタバレあらすじ ライナーが主役?!の新章がはじまる

進撃の巨人の最新23巻が本日(2017年8月9日)発売になりました。 日にちがかわってすぐに電子版を購入して読みました。 前巻では、エレンたちが勝利し、世界の秘密を知り、「第一章」が完結しました。 その後はどんな展開になるのだろうと思って、楽しみ…

「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」の話題の中心がねとらぼになってしまう理由

話題の「とある新人漫画化に、本当に起こったコワイ話」をキンドルで読みました。 いやぁ凄まじかったですね。 無料で1600枚のカラー色紙を描かせるだけでなく、東京に呼んでおいて宿泊先の手配(作者は女性)などをしない、年末に打ち合わせのアポを忘…

子供の目のクマはスポーツ性貧血かも(医療系まとめサイトはホント駆逐されてほしい)

WelqをはじめSEOによるネット広告を稼ぐための「医療系まとめ」サイトの迷惑さはいまさら言うまでもありません。が、実際に迷惑なので、 <比較的元気で熱もない体育会系の子供が、「目のクマ」や「頭が痛い」、「かかとが痛い」> と言った、極めて限定的な…

Amazonを中華詐欺に乗っ取られてアカウントを回復するまでのたったひとつだけの方法

対岸の火事とおもっていたわけではありませんが、やられました。 月に1度くらいまとめてお買い物するプライム会員なのですが、ログインできない。 買い物履歴をみると、なぜかキンドルの履歴だけは見えるので、中途半端にログインはできているとしばらく思…

声に出して最初から読みたい進撃の巨人第1巻ネタバレあらすじ

進撃の巨人を1巻からあらためてキンドルで読み直しています。 kindleのキャンペーン中かのようで、40%のポイントがついています。つまり4割引き!だったからです。(2017年4月23日現在) 結局全巻そろえてしましました笑 自分があとで読み返して伏線な…

第一部壁の中編の完結!進撃の巨人22巻ネタバレあらすじ

進撃の巨人22巻(2017年4月7日発売)は、1巻から始まった「壁の中」編つまり事実上の第一部の最終巻となります。 87話から90話まで収録されており、90話のタイトルは「壁の向こう側へ」です。 21巻の後半から始まった謎ときの続きとなり、…

吉田松陰の形見と前橋市が認定した短刀に真贋論争

色々な禍根を残した2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」。 とりわけヒロインと結婚する楫取素彦(かとりもとひこ)は維新後に群馬県令となり、県庁を高崎から前橋へ移したことで、高崎市民から「悪」の象徴とされている。 逆に前橋市民にとっては恩人といえ…

中世から近代へ壁の外の衝撃の歴史が明らかにされた進撃の巨人21巻ネタバレあらすじ

進撃の巨人21巻は、前巻にて調査兵団に大きな犠牲を出しながら起死回生の大逆転を果たしました。 21巻は83話から86話まで収録しています。 この巻はこれまでの世界観を一変する、世界の秘密が明かされます。 それだけにネタバレ度はハンパないので、…

佐久間信盛はなぜ追放されたのかについての新説をあげる『織田信長の家臣団』を書評しました

2017年2月に中公新書から刊行された 和田裕弘著『織田信長の家臣団ー派閥と人間関係』(中公新書)を書評しました。 織田信長の家臣団―派閥と人間関係 (中公新書) 作者: 和田裕弘 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/02/19 メディア: 新書 こ…

全滅覚悟から一気の大逆転へ 進撃の巨人20巻ネタバレあらすじ

シガンシナ区をめぐる調査兵団VS巨人の戦いが前巻から引き続いて続く20巻。 迫力の戦闘シーンが長いので、ストーリーを追うのが趣旨のこのエントリーは短めになります。 20巻は79~82話が収録 【PV】『進撃の巨人』第20巻 2016年8月9日(火)発売! …

新兵器雷槍で鎧の巨人倒すもほぼ全滅の大爆発 進撃の巨人19巻あらすじ・ネタバレ

いよいよ、調査兵団と巨人のガチ対決です。 75~78話を収録した19巻は、大迫力のバトルが続きます。(18巻のあらすじはこちら) ということはストーリー的(世界の謎)には、それほど進展がないということになります。なのであっさりまとめます。 進…

エレンに父から巨人が受け継がれた逸話明らかに!進撃の巨人18巻のあらすじネタバレまとめ

進撃の巨人は、ブームのさいに、もちろん読んでいました。革命を成し遂げたあたりで、一服感があったので、そのまま数年、読んでいませんでした。 しかし、たまたま、コンビニで最新刊の22巻を見かけて、読んでみたところ、日本史だった話が世界史にまで展…

織田信長の写真集発売される(2万円)

戦国武将の写真集が出るとしたら、肖像画よりも書状集ではないでしょうか。 そうした歴史マニアの心を揺さぶる本が出ました。(と言っても、刊行は2016年です) 歴史の学会雑誌を見ていて、書評が載っていて「欲しい」と思ったのですが、 価格は2万円。…

ASUSのミニノートE200Hでタッチパッドをしていると勝手に画面が拡大したり縮小したりするのを止める方法

ASUSのミニノートE200Hを外用のノートとして購入して1年。 3万円台で重さも、スマホの充電器よりも軽いくらいで重宝しています。 が、もちろん複数のソフト(ブラウザ含む)立ち上げるとすぐに固まったりしますが、値段と軽さと、バッテリーの持ち(4,5…

「日本」の母卑弥呼をつくった弥生時代の大飢饉

歴史は繰り返す、とよく聞きます。 人は同じことを繰り返すかというと、 「いやいや、人類は進歩していく」と考えたいところですが、 保護主義と自由貿易主義を繰り返すアメリカの「歴史は繰り返す」を見るに、やっぱり、どちらかというと繰り返すんじゃない…

芦辺拓『ダブルミステリ 月琴亭の殺人 ノンシリアル・キラー』(東京創元社)のネタばれ分析

面白かった。表から読むストーリーは古典的な密室殺人事件。裏から読むストーリーはブログの形式。 ほとんどかみ合わない2つのストーリーが、袋とじの「解決編」で結びつく。 本格派推理を読み終えたあとに訪れる、映画のエンドロールを見たときの余韻にひ…

メモ藤原定家明月記でオーロラ観測と国立極地研究所など

平安時代って、日本でオーロラは見えるは、海面上昇するは、地震も多発するは、天変地異的にはすごい時期だったんですね。 武士の時代になるのもさもなんという気がします。 以下、毎日新聞の報道です。 平安・鎌倉時代の歌人、藤原定家(1162~1241…

山形庄内砂丘で見つかった30メートル超の平安時代の巨大津波か

NHKニュースで報じていた「平安時代に起きた巨大津波の痕跡か 山形庄内平野」というニュースに引き込まれました。 www3.nhk.or.jp 箇条書きにまとめると ・山形県に高さ30メートルを越える未知の地震津波が起きていた ・西暦1000年代から1100年代…

美濃のマムシ斎藤道三の「国盗り物語二代記」

美濃の蝮・斎藤道三といえば、戦国時代の群雄割拠、下克上の象徴的な存在です。 司馬遼太郎の「国盗り物語」で、近江の油売りから一気に美濃一国の戦国大名にまでのし上がった栄達が描かれましたが、実は(同じような一代による国盗りとされる)北条早雲と同…

3月19日歴史本書評まとめ 武田勝頼はなぜ英雄になれなかったのか

フェイクニュースの時代だと実感させられる日々ですね。 フェイクニュースは海外のことと思っていたら、森友学園問題や築地市場のほうが大汚染されていた問題などで、教育者や知事など社会のリーダーと思われていた人がそのときそのときの情緒で、思い付きを…

3・11の翌日の新聞書評面と歴史本

6回目の「3・11」。これまでは11日に近い日曜日の書評欄も震災にまつわる本の紹介が多かったように感じていたが、今年は全国紙3紙では、宮城・気仙沼の養殖業でコラムニストの畠山重篤さんによる「空想書店」を特集した読売新聞以外、ほとんど震災関…

飛鳥で未知の最大級の方墳小山田古墳が発見されたことから謎の亀石の存在意義を考えてみた

飛鳥で石舞台古墳(50メートル)よりも大きな一辺70メートルの方墳(もしくは上は円墳になっている上円下方墳)が見つかりました。2017年3月1日に奈良県立橿原考古学研究所が発表しました。古墳の名前は小山田古墳と名付けられました。 これだけ大…

井伊直虎は世界に一つだけの花なのか否か

おんな城主直虎は、子役の活躍がすばらしく 「リフティング勝負(蹴鞠)している直虎子見て泣いた」と、知り合いのおじさんが話していました。 とはいえ、脚本・演技よければフィクションなのだからなんでもよし! とならないのが、われらが大河ドラマの大河…

『看護婦の歴史』書評を寄稿しました

bushoojapan.com 新刊の『看護婦の歴史』の書評を武将ジャパンに寄稿しました。 看護婦の歴史: 寄り添う専門職の誕生 作者: 山下麻衣 出版社/メーカー: 吉川弘文館 発売日: 2016/12/16 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る