歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

進撃の巨人28巻ネタバレ 今巻で回収された3つの大きな伏線を解説

進撃の巨人の28巻が2019年4月に出ました。平成最後の巻ですね。

あらすじについては、いろいろなブログで紹介されていますので、お任します。物語が佳境に入り、だんだんと重要な伏線が回収されだしています。今巻で明らかになった3つの伏線についてネタバレで解説していきます。

毎巻、毎巻ですが、驚きとショックが大きい、読み応えのあるシリーズです。

イェーガー派のクーデター

シガンシナ区争奪戦の調査兵団生き残りのフロック(モブキャラだと思っていました)が捕らわれたエレン・イェーガーを旗印に、ザックレー総統を自爆テロで暗殺し、クーデターを起こしました。エレンも牢獄から巨人に変身して、やすやすと脱獄し、合流します。

彼らは「イェーガー派」と呼ばれるようになります。

マーレ人捕虜のリーダーで、ジークを信奉する女兵士イェリナは、なぜかマーレの捕虜の労働環境を守ることに尽力していました。

調査兵団長のハンジは「レストランが怪しい」と勘付きます。

サッシャの「恋人」のマーレ人シェフ・ニコロ

レストランは、マーレ料理の名人で、前々回にガビに撃たれて死亡した調査兵団のサシャの「恋人」のニコロがシェフとして働いています。

 

サシャの墓の前で、ニコロはサシャの父親と会い、レストランに食べに来てと招待していました。この日は、それを受けてサシャの父親が育てている戦災の孤児たちを連れてやってきました。その子供たちの中には、看守を打ちのめして脱獄して変名で、サシャの親に養育されていたガビとファルコもいます。

「とにかく、こんな美味い料理初めてだ」

というシーンが、26,27巻と食を通じて、エルディア人とマーレ人の心の垣根を超えていける期待を大きくしていただけに、このあとの展開はかなりショックです。

 

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ニコロはガビに対して叫びます。

「俺にも大事な人がいた!!たしかにエルディア人だ!悪魔の末裔だ!!

だが…彼女は誰よりも俺の料理を美味そうに食った…

このクソみてぇな戦争から俺を救ってくれたんだ…

人を喜ばせる料理を作るのが本当の俺なんだと教えてくれた…」

 

涙なくしてみれない名場面です。

 

(「つづきを読む」で、さらに完全なネタバレの3大伏線回収)

 

進撃の巨人(28) (講談社コミックス)

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回収された伏線1 ジークの脊髄液が兵団に投与されていた

今巻で回収された大きな伏線3つあります。

一つは、ジークが義勇兵のイェリナと仕組んだ罠です。

憲兵調査兵団の一部に、ワインにまぜたジークの脊髄液を飲ませることです。

これにより、ジークが彼らの巨人化をいつでも発動することができるようになりました。

イェリナは、盲信するジークの目的のためには手段を選ばない女でありながら、前巻では、なぜか捕虜たちの人権にはうるさかった。調査兵団長のハンジは、そこに疑念をいだき調査を進めますが、時すでに遅し。

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今巻では、とりあえず?の第一弾として、ジークを警護していたリヴァイ率いる調査兵団の30人が巨人化して、リヴァイを襲います。

リヴァイは「紅茶好き」だったため、リヴァイだけは「紅茶があるだろ」とワインを飲まなかったのです。リヴァイの紅茶好きも、ある意味で伏線ですね。

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回収された伏線2 エレン「ミカサ お前がずっと嫌いだった」

ジークの陰謀は、あって不思議ではなかったですが、次のシーンはショックが大きかったです。

クーデターを起こしたエレン。調査兵団に残るミカサとアルミン。

今巻で、ミカサとアルミンのところに、エレンが会いにやってきます。幼馴染の2人は、エレンに対して、ジークに洗脳されていると、<あの頃の優しいエレンを取り戻して!>的に説得しようとしますが、逆にエレンが衝撃の告白をします。

エレンはマーレに潜伏中に、巨人についていろいろ学んだ結果、ミカサやリヴァイのアッカーマンがエルディアの王を守るために驚異的な肉体改造をされた人間で、遺伝子的に、守るべき人を自動的に守る体質とのことを伝えます。

これは、ミカサがエレンを守るのは、ミカサ自身の心ではなく、遺伝的に組み込まれた仕組みとなります(エレンの説明では)。

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エレンは物語を通じて、ずっと「自由」「自由」と、自由を求めていたましたが、遺伝子に動かされているミカサは不自由で、奴隷だと非難し、

「ミカサ お前がずっと嫌いだった」

と衝撃の告白をするのです。ミカサ呆然…

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また、アルミンはアルミンで、26、27巻で、水晶に守られたアニ(女型の巨人)にこっそり、ちょくちょく会いに行っていました。

アニが好きだったベルトルトを食べて、超大型巨人を宿したアルミン。

エレンは、アルミンこそが敵であるベルトルトの記憶と思いを引き継いで洗脳されていると非難します。

確かに、中性的な立ち位置だったアルミンが急に26巻で、アニのことが好きだったような話になって、ちょっと違和感(エレンがアニに好意を持っているという話はあった)を感じましたが、逆にそれが伏線だったのです。さすがです。

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回収された伏線3 ジークのメガネは、先代の「獣の巨人」

ずっと以前から、伏線だろうなと思いながらも、謎だった。ジークのメガネの謎が明かされました。

 

実父のグリシャ・イェーガーのメガネと、ジーク・イェーガーのメガネは形が違います。

ジークのメガネは特徴がありますが、<第一章>の最終巻ともいえる22巻で、ジークがマーレに対して反乱を起こそうという計画をしている両親をマーレ当局に「売った」ことが、グリシャの日記で明かされています。

そこで、連行される両親を守るジークを、ジークの祖父母(グリシャの両親)とともにメガネをした男性が涙を流して肩をなぐさめるように抱いていました。

今巻で、この男が、ジークとは血のつながりのない「獣の巨人」の前任者で、名前は「クサヴァー」と明らかになりました。

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また、22巻では、息子(ジーク)に裏切られた親目線で、親密告事件を描いてましたが、今巻では、息子視点で描かれています。

ジークも(ライナーの幼少期と同様に)実は、親の期待に押しつぶされた劣等生だったのです。

ジークは、その後の育ての親ともいえるクサヴァーとの関係のなかで、エルディア人のあまりにも悲しい運命を知り、自分が「エルディア人を安楽死させる」と野望を抱いていったのです。

今巻では、ジークとエレンの兄弟は手を握っていますが、ジークは同胞(エルディア人)を苦しみの運命から解放することを願い、エレンは「自由のための戦い」を願っています。

二人の目的は、この時点でずれており、これがきっとさらなる伏線となっていくのでしょう。

次の巻は8月発売です。

 

進撃の巨人(28) (講談社コミックス)

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