佐久間信盛はなぜ追放されたのかについての新説をあげる『織田信長の家臣団』を書評しました
2017年2月に中公新書から刊行された 和田裕弘著『織田信長の家臣団ー派閥と人間関係』(中公新書)を書評しました。
先日書評した『織田信長の古文書』で取り上げた佐久間信盛への譴責19か条に通じるもので、興味深く読み始めました。なにしろ、その理由が新説としてあげられているというからです。
本書は非常に労作です。
データーベースとして、これだけの家譜や家系図を網羅した努力は凄まじいものがあります。
ただ、データーベースを作るのと、そこから導き出される歴史の実像を引き出すのはまた別な話。
そもそも、歴史研究では容易に使ってはいけない(江戸時代に創作された部分が多く、情報として信憑性が低いので)家譜や家系図をもとにして、当時の人脈が「なかった」というのは、今流行りの悪魔の証明をしているようなものかもしれません。
ですので、データーベースとしての本書は価値が極めて高いと思いますが、新説の内容については大いに議論の対象となると感じて、厳しめの書評となりました。
もしよろしければ、武将ジャパンさんに寄稿していますので、お読みください。