歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

7万1000年前のアフリカの人類は、すでに、飛び道具を作り、それを伝承する術を持っていた

 英科学雑誌「Nature」(英語)によると、南アフリカのピナクルポイント(Pinnacle Point)洞窟で、約7万1000年前の地層から、細石器(さいせっき、bladelets)と呼ばれる、木や骨の先端にいくつかはめ込んで、投げ槍のやじりやナイフのように使う石器が複数見つかりました。
=Natureより

 これまでは、細石器を使うような投げる武器というのは、基本的に氷河期が終わって(完新世になって)から、つまり1万年前くらいからと考えられてきました。

 しかし、母なる大地アフリカでは、なぜかぽつんと6万年前にも、こうした細石器が見つかっていましたが、その使い手はどうやら滅亡してしまい、1万年前以降の細石器とはつながりがないものだと思われてきました。つまり突然変異的な「天才」が現れたけど、天才すぎて広まることはなかったと考えてきたのです。
 ところが、今回の発見により、かなり長期間にわたって、こうした高いレベルの技術を人類は伝えることができたんだということが分かりました。
 そのため、当時は持っていなかったと言われている「コミュニケーション能力」つまるところ「言葉」も、彼らは技術を伝承するために持っていたに違いない!というのが本来のネイチャー論文の意味です。

下の時事通信の記事にある 

南アフリカではこのような細石器が6万5000〜6万年前の地層から発見されていたが、6000年以上さかのぼることになる。

ということは、実は「本当のニュース」ではなかったのです。

 7万5000年前には、人類史上最大のインドネシア・トバ火山の超巨大噴火が起きていますから、噴火の影響が大小あれ、なんらかのインパクトはあったでしょうから、それで脳にスイッチが入ったのかもしれませんね。

 技術を伝承するためのスキル=言葉は、もしかしたら、異様な空の変化を仲間に知らせるために生まれた究極の生き残り術だったのかもしれませんね

出アフリカ記 人類の起源

出アフリカ記 人類の起源

時事通信

7万年余前の細石器発見=精巧で鋭利、矢尻に使用か−南ア

 南アフリカ南部沿岸のピナクルポイント洞穴遺跡で、約7万1000年前の地層から弓矢の矢尻などに使ったと推定される精巧で鋭利な細かい石器が見つかった。米アリゾナ州立大などの国際研究チームが11日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 南アフリカではこのような細石器が6万5000〜6万年前の地層から発見されていたが、6000年以上さかのぼることになる。
 火で熱すると薄く割れる石を材料とし、複雑な工程を経て作られたとみられ、精巧な技術を伝えるために言葉が使われていた可能性が高い。アフリカ大陸では約20万年前に現生人類のホモ・サピエンスが出現したとみられ、弓矢などの飛び道具を使う集団が狩猟や闘争で有利になったと考えられる。

(2012/11/11-15:33)

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