歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

戦国時代に最も変態だった武将は誰か?「処女がいい。同性愛ムリ」は男のクズ

 いつ結婚するの? いまでしょ!ですませればいいんですが、昔は何歳で結婚したのかという話が一部で盛り上がっています。
 その解答は、学術的な研究を反映させたすんばらしい記事がでているので、こちらを読んでもらえばいいです。

 で、この論争に刺激されて、ナックルボールを放ってみようと思います。

 先にご紹介のエントリーでの参考文献は、講談社学術文庫や吉川弘文館という格の高い本ですが、わたしはこれでいきます。半分漫画の歴史本です(献本感謝)

戦国時代100の大ウソ

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 戦国時代において、同性愛はデフォルト(標準)の性癖であったことは、そこそこ有名だろうと思います。

 武田信玄というと、男の中の男というイメージを抱くだろう。が、実はこの御屋形様、大のオトコ好きだった。
 ある美少年に対して、こんな手紙を送っている。

 ―弥七郎くん以外を愛したことは、今までもこれからも神に誓ってありません。
  お前が嫉妬していると私はオロオロしてしまうんだよ〜
 
 鬼神のごとく恐れられていた姿からは想像できないが、この時代は信玄だけが変わった恋愛観を持っていたのではない。
 ライバルの謙信にいたっては、「女は一切ダメ」と大名のくせに結婚も子作りもせずに、魔法使い(出家)になってしまった。もちろん謙信もオトコとはラブラブであった。

 むしろ、名だたる戦国大名で美少年に関心がなかったのは、大の女好きの豊臣秀吉ぐらいのもんだろう。

そう、戦国時代の最悪の変態とは豊臣秀吉だったのです!

 ちなみに弥七郎とは、武田の名将として有名な高坂昌信(春日虎綱)のことだ。

 この人は、信玄の死後、次の当主・勝頼に対して
 「人を使うときは、合うところで使って、ちょっと具合がよくなくてもいちいちとがめるな」
 と忠告している。
 う―む。同性愛者の視点で語られると、意味深な言葉ですなぁ。

 引用されている史料の現代語訳がジワジワきます。

秀吉の変態はとまらない

 「処女がいい!若いのがいい!」というのは、現代のネット界隈の一部の男どもにとって、永久不変の法則だと思っているふしがありますが、さにあらず。

 むしろそんなことを言っているやつは、気品のないということが下の引用からも分かります。(今でも分かるか笑)
 

 大の女好き、いや女狂いというレベルであった秀吉は、ことさら「身分の高い女」には目がなかった。信長や家康など他の大名は、そんなコトなどほとんど執着しなかったのに、なぜ秀吉だけが?

 それは、ずばり女についての教育の差だ。
 戦国時代でも信長や家康など大名の家に生まれた人間は、女について徹底的に帝王学を学ばされた。

 『処女がいいとか、年下のお嬢様がいいとか言うな。むしろ未亡人や年上こそが大名の妻にはふさわしい』
 
 意外であろう、こんな教訓が普通に通っていたのだ。子を生ませるならば若い女の方がよい。それも出自の良い家の方が、優秀な子供も生まれてきそうである。
 
 が、実際に武将の子供たちを見てみればわかる。信長の長男と次男の母は未亡人。ほかの妻も、名門の家というのは一人もいない。

 家康は「熟女、人妻好き」として有名だが、これも性癖というよりも幼少時の教育の結果である。

 三男(2代将軍秀忠)と四男は未亡人に産ませ、六男と七男の母にいたっては子持ちの女だった。しかも、2人とも家柄も高くなく、華美な装いをまとうわけでもなく、生身の人間として自分にふさわしい女を選んでいたのだ。

 しかし、成り上がりの秀吉は、戦争や政治については長けていても、女についてはそんな高貴な教育は受けていない。出世すればするほど、格上の女性が欲しくなっていった。


 580円で、コンビニで並んでいるそうなので、見かけたらぜひどうぞ。
 この本の漫画家の富永商太さんは、拙著の表紙やイラストを書いていただきました。

【追記】エントリー後、富永商太さんを橋渡しに、筆者の川和二十六さんと私恵美嘉樹ら歴史系作家、漫画家、編集者が集まって「武将ジャパン」という日本初の歴史ポータルブログを7月に立ち上げました。
私の歴史ネタはそちらで書かせていただいていますので、よかったら見に来てください。

日本の神様と神社-神話と歴史の謎を解く (講談社プラスアルファ文庫)

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おまけ

 「京」の100倍の性能のスーパーコンピューターが決まりましたね。なので、このネタもw前田利家wwww

 ギャグだけじゃありません。真田幸村さんかっこいいっす。冒頭のカラーグラビアはシグルイの山口大先生なみの迫力です

戦国武将と男色―知られざる「武家衆道」の盛衰史 (歴史新書y)

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戦国時代エントリー

グロ剣豪漫画「シグルイ」の山口貴由さんの新連載スタート・・・ふたをあけてみると

 シグルイという剣豪漫画がありまして。まあ一言で言えば残虐なシーンたっぷり(しかない?)どぎつい漫画です。
 下の絵のような濃いタッチで、こうした人物がギタギタになっていくということですから、ダメな人には全くダメでしょう。
 私は、「うわー」と言いつつ、シグルイ全巻を一気に読み通して、「ぐたーっ」と脱力したパターンです。ええ、面白かったですよ。すごく。

 そんなシグルイの作者の山口貴由さんが月刊漫画雑誌「戦国武将列伝」6月号(リイド社)で新連載というので、
 ガッと買って、バッと開いて見てみました。(さあ、最速漫画書評するぞ〜!)
コミックナタリー - 「シグルイ」山口の剣豪絵巻、戦国武将列伝でカラー連載 コミックナタリー - 「シグルイ」山口の剣豪絵巻、戦国武将列伝でカラー連載

ばばーん!!!

うおーーー、すごい迫力

 ぱらり(ページをめくる)

 あれ?????

 終わり?


 オールカラーですが、表紙をのぞくと4頁。宮本武蔵佐々木小次郎の戦いなのですが、期待していた連載ストーリーものではありませんでした。

 カラーグラビア?という位置づけでしょうか。

 昔、モーニングでわたせせいぞうの「ハートかカクテル」というカラーの数ページの短い漫画がありましたが、「あれって、読まなかったよな〜」という感じです。ああいう、グラビアな漫画が好きな人にはありでしょう。
 
 すんません、漫画書評するだけの分量がありませんでした。


シグルイキンドルないんですね。こういう家に持ち帰れない(笑)漫画こそ、電子書籍にふさわしいと思うのですがね。。。

シグルイ 全15巻 完結セット (チャンピオンREDコミックス)

じぇじぇじぇ!某マスコミからの取材&ガジェット通信に掲載(転載)、ハザラボ連載10回突破

 きょう(2013年5月8日)あるマスコミの記者さんから一の宮巡礼の取材を受けました。
 拙著『全国「一の宮」徹底ガイド 』を読んで取材依頼をいただきました。ありがとうございます。
 掲載紙名(伏せなくてもいいのかな?わからん)と掲載日は決まりましたら、また公表いたしますので、その時はぜひ読んでください。

ハザードラボの「ハザード今昔」連載10回目

 東北で1000年に一度と言われる地震津波。ということは、当然、弥生時代にも、縄文時代にも津波が起きていたはずです。
 宮城県の松島では、津波に被災した(可能性のある)縄文人の骨が複数発見されています。そんな縄文人が1000年に一度にそなえてとった行動は、現代と同じ「高台移転」でした。
 

ガジェット通信デビュー

 どういうわけか、去年の記事が、ゴールデンウィーク中にブレーク(はじめて1日に1万PV超えました)しまして、それを目に留めたガジェット通信から寄稿の依頼がありました。
 ここにきょうの夜掲載されました↓
http://getnews.jp/archives/335256

 もとの記事はこちらです。

 ガジェット通信→アゴラ→ブロゴス→ハフィントンポストと広がって行きたいものです笑

【速報】大西洋の海底にアトランティス大陸発見?!のびたの恐竜の痕跡か!

 なかなか熱いニュースです、ムー的に。
アトランティス大陸あった? しんかい、陸特有の岩発見 - MSN産経ニュース アトランティス大陸あった? しんかい、陸特有の岩発見 - MSN産経ニュース


 世界最速つっこみをしようと思っていましたが、すでにオチがもう付いていまして、、、

花崗岩が見つかった海底台地が沈んだのは数千万年前とみられ、人工構造物は見つかっていない。

 というわけです。
 猿人アウストラロピテクスがだいたい300万年前ですから、数千万年前というと、へたしたら恐竜の時代(6500万年前に滅亡)かもしれません。
 仮に人類がそこにいたとしたら、のび太とその一行としか考えられません。

 日本(海洋研究開発機構)とブラジルの調査で分かったそうですが、記事を見ると下のように、ひとりブラジルだけがはしゃいでいるようです。さすがラテン系。祭りならば踊る!という強い意志を感じさせます。

 ブラジル側は「伝説のアトランティス大陸のような陸地が存在した極めて強い証拠」としている。

日本には逆アトランティス大陸がある!

 一方の日本側は落ち着いたものです。なんていっても、
 日本なんて4億年前の「海底の底」が地上にあるもんね〜。岩手県に。

 早池峰山は、南部北上山地の一部の古い岩体から構成されています。4億年以上も前の古生代オルドビス紀に海のなかの大山脈で形成され、中生代後期に海から上昇して地表に現れたと考えられています。つまり、4億年以上前の海中の地殻(地球の表面の岩石の層)がもとになっているのです。

 こちらより引用北上山地の準平原地形と特有の地質が生み出す貴重な植物群 | 三陸ジオパーク推進協議会 北上山地の準平原地形と特有の地質が生み出す貴重な植物群 | 三陸ジオパーク推進協議会


 アトランティス大陸を追い求める漫画といえば、下のイリヤッドでしたが、あれはたしか・・・ブラジルではなかったですね。

キンドル(電子書籍)で童門冬二の歴史もの短編を100円で販売中 #キンドル

 PHPが雑紙連載の一部をまとめたものを電子書籍として100円で販売しています。

 歴史ビジネス作家の童門冬二さんの2冊。テーマは、直江兼嗣と蒲生氏郷です。
 ページ数換算で16頁ということなので、どんなものんでしょう、雑紙連載3回くらいですかね。

 とりあえず冒頭だけのお試しを読んでみました。
 と、思ったら、1頁もありませんでした(涙)で、でてきたのが

「無料サンプルはお楽しみいただけましたか?」

 って、かえって感じ悪いよ・・・


gunosy変わってきましたね

 前日の話題をまとめて、翌朝送ってくれるgunosyというサービスがにわかに批判され、注目されてます。GWにかっこうなひまなネタとなりました。私も使っているので、楽しく(?)論争を観戦していました。

 スタートは、「gunosyすごいとか言われているけどはてなブックマークを集めただけ」というものです。

 それを受けてでしょうか。きょうのメールでは、はてぶが1しかついていないもの、それにプロ野球のネタが並んでいます(笑)。
 プロ野球なんて私は全然感心がなく、いままでツイートもはてぶもしていないはずですが、上の批判記事の中で「広島カープのツイートをしまくっているのに全然反映されない!」というようなツイートがあり、それが反映されたのでしょう。
 しかし、連休中も仕組みをすぐに変えるために働くのだから若い会社(gunosy)は元気ですね。

 きょう配信されたもので、はてなブックマークが1つしかついていないものは、新聞のニュース記事。これは歴史からみでした(竹島の問題)。

 歴史ものは、これだけだったんですよね〜。恵美嘉樹には物足りないです。


 その後も、ここを巡って色々盛り上がってます。

 批判のエントリーは配信しないそうだけど、きょう(2013年5月6日)は「gunosyはやっぱりいい」というエントリーが配信されていました。もういっちょまえのテレビなみの編集力ですね笑

 ホリエモン絶賛、参画!みたいなニュースがよくも悪くも影響大なんでしょうね。わたしも「じぇじぇ」って思いましたし。ただ、でるくいは打たれる。でないくいは腐る、です。

 これからどうなることやら、はてぶとニュースサイト以外の歴史ニュースをどんどん拾ってきてくれるようになるのを期待していますので、ぜひがんばってください。


 同じようなサービスにvingowというのがあって、それは一から自分で「育てる」ので、最初はまとはずれのエントリーばっかりでしたが、だんだん最近はよくなってきました。
vingow [ビンゴー] -make you smart- vingow [ビンゴー] -make you smart-
 でも育つまでが面倒。すでにパッケージされてるgunosyは楽チンだから受けるんでしょうね

「洪水」その無慈悲な威力が後世に歴史を残した「真空パック保存効果」#弥生時代 #歴史

 国内有数の弥生時代の水田跡がある奈良県の中西・秋津遺跡で、弥生時代の水田や稲作の生産性などが徐々に判明している、という産経新聞がきょう(2013年5月6日)ネットに配信されています。
 こういう分析記事はいいですね。理解度がアップします。

 


 弥生時代前期(約2400年前)の水田跡としては、国内最大規模を誇る奈良県御所市の中西・秋津遺跡。県立橿原考古学研究所(橿考研)の発掘調査で、洪水の土で“真空パック”された状態で水田跡の一部が見つかるなど、「弥生当時の水田」を知るうえで貴重な調査成果をあげている。京都大大学院も共同研究で土壌分析に協力しており、日本に稲作が伝わった頃の田園風景の様子が明らかになりつつある。今年度の調査も始まり、専門家や考古学ファンの注目を集めている。

 (略)
 弥生時代前期前半には水田の底面に段差があったが、前期後半になるにつれて次第に平面になっており、約200年かけて当時の水田が改良されていたことも確認された。

 この遺跡は、洪水で厚さの土砂が堆積したことで、水田や林が「真空パック」された場所です。
 埋没林については、エノキの木の根元が見つかって話題になりました。

 産経の記事を読むと、弥生時代における水田稲作がけっして「狩猟生活(縄文時代)に比べて楽でうまみがある」というものではないことがわかります。

 数百年かけて、ちょっとずつ改良に改良を加えていったのです。
 そして、200年かけて「良質な水田」になったところで、大洪水であぼーん、という無慈悲さ・・・。
 まあ、そのおかげで我々は考古学の成果によって、当時の歴史の実像を知ることができるのですが。


 洪水や土石流で、弥生時代の水田が埋まってしまったケースで有名なのは、青森県田舎館村の「垂柳遺跡」(たれやなぎ)があります。


 垂柳遺跡は、洪水によって埋もれた遺跡です。過去の噴火で八甲田山の山麓には、たくさんの噴石物が降り積もりました。
 その噴石物が雨によって川に集められ、洪水となって垂柳遺跡を襲(おそ)ったのです。 
田舎館村HPより

 ここも洪水で埋まったために現代まで「真空パック」されました。
 写真を見れば分かりますが、現代の1区画と比べて、各区画が非常に小さいことがわかります。いまなら棚田みたいな感じです。
 大規模にすれば、効率はいいですが、それだけ当時は、水温調整や水量の確保などが大変で、小さくして、一つ一つを手間暇かけて維持することを選んだのでしょうね。

 この本にある弥生時代が500年早まったというのも衝撃ですが、ほかにも徐々に色々なことが分かってきているのが弥生時代ですね