歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

「とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話」の話題の中心がねとらぼになってしまう理由

話題の「とある新人漫画化に、本当に起こったコワイ話」をキンドルで読みました。 いやぁ凄まじかったですね。

無料で1600枚のカラー色紙を描かせるだけでなく、東京に呼んでおいて宿泊先の手配(作者は女性)などをしない、年末に打ち合わせのアポを忘れるなどの担当編集者の所業は、読むだけでいらつきますし、ドキュメンタリーなので、爽やかなオチというわけでもありません。

こんなありえない編集者が大手のKADOKAWAに存在することが、まずなかなか信じられません。

KADOKAWAと言えば、次々に中小の出版社を吸収しては、部門ごとつぶしていく印象があり、とくに歴史かいわいでは、新人物往来社が消滅したことからもそのイメージが根強いです。

数多くの(優秀といわれる)歴史の編集者が、リストラ激しいKADOKAWAから去っていたことも聞きます。

しかし、マンガはやっぱり儲かっているからでしょうかね。こんな編集者でもずっといられるんですね。

場外乱闘気味になっているねとらぼのくだりは、このとき、作者は完全に精神的に病んでいるということが、マンガからも見て取れるので、作者はマンガに描いたように感じ取ったのでしょう。

なにしろ、作者も初めて、ねとらぼに書かれたことを問題の編集者から「ねとらぼ編集部への電話番号」(抗議するように暗示)とともに伝えられているので、ねとらぼの記事自体をちゃんと読んでいなかった可能性が高いのでしょう。

つまり、彼女が抗議した「ブログの丸写し」や「作品全体をそのまま掲載した無許可転載」は、ネットに残る当時のねとらぼの魚拓記事を見ても指摘はあたらないので、こうしたウソの情報(ブログ丸写しや無許可転載)を、問題の編集者から説明されて、そのままそうだと思いこんで抗議に及んだと想像できます。

つまり、この編集者が仕事ができない上に嘘つきというどうしようもないということで話は済むのではないでしょうかね。

ねとらぼはこのお話の中で、とても1章を割くほどの当事者ではないので、飛鳥新社の編集者さん(真人間に描かれています)が本来は、ネームなどを見て、「ここは匿名にしましょう」とアドバイスするというのもありだったのかもしれませんね。(実際、KADOKAWA以外で、ねとらぼと飛鳥新社以外はみな匿名なようなので)

ねとらぼも、下のような感情的なお知らせを出さずに、「マンガを読むと、相当にお疲れだった時の状況が理解できました。当方では突然、激昂された電話をいただいて、状況がわからずに不快に思われる電話対応となったことをまずお詫びします。その上で、うんぬんかんぬん」とか、大人なお知らせを出せばいいのにと思いました。

 

うーん、本編よりもねとらぼの話が長くなってしまいました。

ほかの読者の感想でもその傾向がありますが、なにしろ本編は1行でまとめられます。

「素行と頭と心根がワルすぎる編集者の話」

なんといいますか、ひたすら血吹きのシーンが連続するホラー映画のようなもので、ストーリーはなく、ただ「絶叫するシーン」ばかりなのです。

(万人が異論なく、この編集者はおかしいと思うのでツッコミ用がない)

 

で、ストーリー性があるのが、ねとらぼの部分だったので、ここにレビューが集まるのかもしれませんし、そうではないのかもしれません。

 

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

 

 【追記】

思いがけず多くの方に読んでいただいているようで恐悦至極です。

はてブのコメント気になったものについてお返事コメントをいたします。

ねとらぼtogetter“こうしたウソの情報(ブログ丸写しや無許可転載)を、問題の編集者から説明されて、そのままそうだと思いこんで抗議に及んだと想像できます”←そう。単行本を読めばそこが分かるのに!ぐぎぎ…。

よくあることなんでしょうけど、本読まずに、ねとらぼの「お知らせ」と魚拓だけを見て、作者を批判される方も多いようですが(法的にはねとらぼは問題ないし、圧力かけてニュースをひっこめさせるという作者の行動は表現者としても悪手=表現の自由を圧力でつぶすわけですから。私も下のツイッターの漫画家さんとほぼ同意見です)。

『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』に関する、漫画家・紅林直さんのコメント - Togetterまとめ

でも、この章こそ、問題の編集者ボーノ氏が天然ボケの「いい人」ではなく、あきらかに悪意のある人であるということが初めて読者に提示される場面なのです。

漫画家と編集者の1対1の関係なら、いろいろといいこともイヤなこともあるでしょう。でも、ここでは善意?の第三者であるねとらぼを巻き込んで、作者を追い込むというボーノ氏の賢さが現れる重要なところなんです。

きのうまで、お寺で修行していた清らかなお坊さんが、突然、クーデターで室町将軍にまつりあげられたとたんに、大虐殺を始める、みたいな。

ただ、書いたように、ねとらぼを実名にする必要はなかったと思います。

そして、それは飛鳥新社の編集者の仕事だと思います。

 

新人物往来社は中経出版に吸収されてるので部署では残ってると思いますよ(同じビルの関連会社を中経出版に一本化した形)。吸収後廃刊になった雑誌もメディアファクトリーとかもないはずですし。

角川に買収される前に中経出版に買収されたことは存じ上げていましたが略しました。ちなみに廃刊(いちおう休刊)となったのは、新人物往来社(途中から中経、KADOKAWA)の『歴史読本』という雑誌です。

締めでねとらぼが責めてるのは出版社なのにどんどんねとらぼ対個人の図式になっていく2017/06/13

このまま、飛鳥新社がボーノ氏と同じように、ねとらぼへの対応を作者に任せるようになったらイヤですね。いまのところ、そうなりそうな悪寒がしますが。

ただ、佐倉色さんはめっちゃ仕事ができる方なんですよね。

 

 

 こうやって、作者のほうがどんどん速攻で対応してしまうと。飛鳥新社が逃げているわけではなくても、飛鳥新社側に、「対応が遅い」や「作者をまたも餌食にするのか」と批判が集まってしまう恐れがあります。これまた、作者、ねとらぼ、飛鳥新社の3者がダメージを食うだけで、ボーノ氏高笑いという状況になりそうで、心配しております。

 

おまけ

本当はこっちのほうが本業なので、もしよろしければ読んでください。

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