歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

京都で見つかった飛鳥時代の半跏思惟像の仏像と徳川家康の「しかみ像」がほぼ同一ポーズな件

 

半跏思惟像(はんかしい像)が今あつい!ごくごく一部にですが。

本日(2017年1月7日)にNHKのニュースで

小さな寺の仏像 実は朝鮮半島伝来の貴重な仏像か | NHKニュース

www3.nhk.or.jp

 

京都市左京区にある「妙傳寺」では、「半跏思惟像」という高さおよそ50センチの青銅製の仏像が本尊として安置されていて、これまでは、寺が建てられたのと同じ江戸時代のものと思われていました。

この仏像について、大阪大学や東京国立博物館の研究者が改めて鑑定したところ、額に刻まれた模様や装飾品の龍のデザインなどが6世紀から7世紀ごろに朝鮮半島で作られた仏像や出土品の特徴と一致していました。

 と。

サムネイルをみてもらうとわかりますが、京都の広隆寺の弥勒菩薩で有名なオバマ大統領が足をくんで偉そうにうなずいている像ですね(違うって)

https://kanko.city.kyoto.lg.jp/resource/sight/photo/mimon01C/C030.jpg

(↑京都観光Navi:広隆寺 木造弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)より)


「はんかしい」といわれても、仏像マニア以外にはなんだかわけわからないという人がほとんどだったのですが、2015年以来、じわじわと広まって、とうとう2017年1月大ブレークしたようです(おおげさ)

なにがあったのでしょう?

徳川家康の「しかみ像」といえば、三方が原の戦いで敗北した家康が敗戦のいましめのために浜松城で絵師を呼んで描かせたとされてきました。その絵は、尾張徳川家に伝来し、同家が(財団を通じて)運営する名古屋市東区の「徳川美術館」が所蔵しています。

ところが、2015年10月、この絵が「しかみ像」であるという逸話は昭和になって創作された物語ということが明らかにされたのです。(捏造といったらいけないのかな?なにせ話を作った人が尾張徳川家の当時の当主でありますから)

 

www.yomiuri.co.jp

http://www.yomiuri.co.jp/photo/20151023/20151023-OYTAI50014-L.jpg


読売新聞・岡本公樹記者のスクープでした。この真相を明らかにしたのは、なんと当の徳川美術館の学芸員の原史彦氏でした。

名古屋圏のローカルニュースだったのですが、これを城郭考古学者の千田嘉博教授がツイートしたことで一気に広まりました。

 

そして、原氏の論文は翌年2016年春に出されました。
この論文がネットで公開されたのが2016年末頃のようで、それが年明けにtogetterなどで話題となりました。

togetter.com

 

この記憶が冷めやらぬところで、今度は飛鳥時代にさかのぼる「半跏思惟(はんかしゆい、とも読む)像」が京都の小さなお寺さんにあったことが大阪大の研究などで判明したと、1月7日にNHKがスクープした次第です。


このニュースの画像をみて、しかみ像が頭に思い起かび、「うんうん、これこれ!やっぱりしかみ像というより仏教のモチーフだよね」と納得がいきました。
こういうのなんというんですっけ?
脳神経的には、脳内レセプターが神経伝達物質をキャッチして、「記憶つながった!」というんでしょうけど、「ひらめき?」「アハ体験?」

そうだ、がってん!だ。みなさんもがってんしましたか?

がってん、がってん!

 

岡本記者の本

原氏の本

千田教授の本