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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

iPS(偽)の歴史的考察

 iPSのノーベル賞受賞よりも、偽iPSのほうが話題になっている昨今です。
偽iPS問題を、歴史的に考えると、どんなことが浮かぶでしょうか。
それは、偽iPSの妄想上の手術が心臓手術だったことにあります。

 歴史的に、死因がはっきり確定できるケースは、戦死や処刑以外には非常に難しい。
 それでも、残された史料で、かかんにその謎解きをしたのが、漫画とドラマが大ヒットした「JIN―仁―」の監修者の酒井シヅさん(順天堂大名誉教授)です。歴史家ではなくお医者さんです。
 酒井さんが監修したのが「戦国武将の死亡診断書」。
 著者は、「戦国☆保健委員会」。なんだか分からないけど、空想の委員会でしょう笑

戦国武将の死亡診断書

戦国武将の死亡診断書

信長から始まって、戦国時代の英雄たちの死因について軽〜く分析しています。その数、31人。むろん、戦国武将のすべてではありません。
しかし、
その中で、心臓病という人がひとりもいないのです。

地球上に住む動物は100%、酸素を燃焼することで生きています。酸素を供給するのは、心臓。脳よりも肝臓よりも、心臓です。
現代人だと、心臓よりも脳のほうが大事に思っています。
でも、戦国時代には明らかに脳や精神がおかしくなった武将は多数いて、それでも天寿を全うしていたりします。しかし、心臓が弱い武将はどうも見あたらない、かなり少ないようである、と。

偽iPS研究者は、人の根源的な欲求をすくいとる能力はたけていたようなので、「心臓細胞の復旧」というところに飛びついたのかもしれませんね。

本題の本についてですが、信長は本能寺の変で死ななくても、高血圧だったので数年で死んだとか、注意欠陥・多動性障害(ADHD)じゃないかと予想しています。比叡山焼き打ちはじめ、信長の様々な決断を「ヒステリー」と判定しちゃうのは、どうかなあと思いますけど。

架空の委員会(つまりライターさん)が書いたってことと、酒井さんは厳密な意味での歴史家ではないので、病状判定する「症例」についての史料批判をまるでしていません。ですので、より病的な=エキサイティングな行動をもとに病状判定していくわけですが(信長まさにそう)、でもたいていそういうドラマチックなエピソードは死後ずっとあとになって作られたものが多いわけです。

それはそれで、JINが面白かったので、この本も面白いです。参考文献には使えませんが。

酒井さんの単著はちゃんと講談社学術文庫に収録中

病が語る日本史 (講談社学術文庫)

病が語る日本史 (講談社学術文庫)

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