中世から近代へ壁の外の衝撃の歴史が明らかにされた進撃の巨人21巻ネタバレあらすじ
進撃の巨人21巻は、前巻にて調査兵団に大きな犠牲を出しながら起死回生の大逆転を果たしました。
21巻は83話から86話まで収録しています。
この巻はこれまでの世界観を一変する、世界の秘密が明かされます。
それだけにネタバレ度はハンパないので、知りたくない人は読まないようにしてください。
アルミンの策により、超大型巨人を倒し、中からベルトルトを引きずり出したエレン。
アルミンは焼け焦げた状態で屋根に転がっています。
そこに、壁の外でリヴァイ兵長に敗北した獣の巨人の中の人ジークと、彼を救ったもう一人の知恵のある四足歩行の巨人があらわれます。
エレンとジーク。父親を同じくする、異母兄弟のはじめての対面となります。
ジークは言います。
「信じて欲しい 俺はお前の理解者だ
お前は父親に洗脳されている
エレン いつかお前を救い出してやるからな」
この言葉(洗脳された)の意味は次の22巻で明らかになります。
ジークを追ってきたリヴァイを見て、2人の巨人は逃げ出します。
一方、鎧の巨人を倒して、中の人ライナーを取り出したミカサやハンジたちは、ライナーが持っていた「手紙」を入手します。
ユミルからクリスタ(現・女王)への手紙だといいます。
それを受け取ったハンジは、ライナーの首を切りおとして殺そうとします。
しかし、ジャンがそれを止めます。
「注射をすることでだれかが助かるのではないか」と。
これはもっともなことです。超大型巨人を倒したことはわかっていますが、もしかしたらベルトルトはすでに死んでしまっているかもしれないからです。(死んだら食べても知恵のある巨人は継承できない)
ハンジは、ミカサをエレンたちのところへ向かわせます。もしも、ライナーを食べる必要がないとわかったら信号弾を撃つように命じて、その信号と同時にライナーの首をおとすと。
ミカサがエレンのところにいくと、死んだと思われていたアルミンがかろうじて息を吹きかえしていました。
エレンは、リヴァイに注射をアルミンに打つように急かしています。
ミカサは信号弾を打つものの、その瞬間、四足歩行の巨人がライナーを奪い去ります。
リヴァイがアルミンに注射を打とうとしたとき、ここにまた新兵唯一の生き残りが瀕死の重体となったエルヴィン隊長を連れてきたのです。
リヴァイは言います。
「この注射はエルヴィンに打つ」
この言葉にエレンとミカサは反発し、あろうことかミカサは刀を抜いてリヴァイを襲います。
「人類を救うのは俺でも団長でもないアルミンだ」
生き残った新兵は、当然、団長を生き返らせるように主張します。
しかし、その説明は尊敬できる団長だからではありません。
当初、生きている団長をみて、自分たちを犠牲にしたことに対してトドメを刺そうとしたと告白し、しかし、
「でも、それじゃあ生ぬるいと思った。この人にはまだ地獄が必要なんじゃないかって
巨人を滅ぼせるのは悪魔だ
悪魔をふたたび蘇らせる
それが俺の使命だったんだ」
そこへハンジたちもやってきて、ミカサをリヴァイから引き離します。
「私にも生き返らせたい人がいる 何百人も」
ここで、副長(MOBキャラらしく、モブなんとかさん)が犠牲となって超大型巨人の爆発からハンジを守ったことが明かされます
この言葉にミカサは力落としあきらめます。
しかし、エレンは最後までリヴァイの足にすがりつきます。
リヴァイは「全員ここから離れろ ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる」とわざわざ<選択>を口に出します。
リヴァイがエルヴィンの左腕に注射を刺そうとした瞬間、ほとんど意識を失っていたエルヴィンが振りほどくかのように腕をあげて
「先生 (壁の外に人類が)いないって (どう)やって調べたんですか」と子供のころの思い出のセリフを放ちます。
リヴァイの頭に、前巻でエルヴィンに対して「夢をあきらめて死んでくれ」と言ったときに、「ありがとうリヴァイ」と言ったエルヴィンの心からの笑顔が浮かびました。
そして、注射をしたのは、エルヴィンでなく、アルミンだったのです。
巨人化したアルミンがベルトルトを食べます。
当然ながら新兵はリヴァイを問いただします。
リヴァイはうなだれて答えます。
「こいつを許してやってくれないか
こいつは悪魔になるしかなかった
それを望んだのは俺たちだ
その上 一度は地獄から解放されたこいつを
再び地獄へ呼び戻そうとした
だが、もう休ませてやらねぇと」
リヴァイは最後に私的な感情で、エルヴィンの魂を解放したのです。
そして、蘇ったアルミンが壁の上で眠りから覚めます。
となりには重体でうなっているサシャがいます。
事情をしったアルミンは驚愕します。
「僕が、エルヴィン団長の代わりをですか」
リヴァイは答えます。
「勘違いするな お前じゃエルヴィンの代わりにはなれねえ
いいか 誰も後悔させるな それがお前の使命だ」
いよいよ、エレンの家の地下室の秘密が明らかになります。
エレン、ミカサ、リヴァイ、ハンジの4人は地下室で、エレンの父グリシャが隠した3冊の本を発見します。
本には、この世界にはないはずの高度な技術「写真」がありました。
写真の裏にはグリシャのメモがありました。
「これは絵ではない
写真という。
私は人類が優雅に暮らす壁の外から来た
人類は滅んでなどない」
とうとう、最大の秘密が「科学」によって生み出された写真によって証明されたのです。
わたしも含めた読者も、中世と思っていた世界に、突如現れた近代の技術によって、頭を大きく揺すぶられたでしょう。
こうして、100人以上いた調査兵団は、団長ら多くを失いながら、9人で生還しました。
とうとう、人類は巨人に勝ち、5年前に奪われた人類の土地の3分の1にあたるウォール・マリアという広大な土地を奪還したのです。
歴史の真実というパンドラの箱の中身とともに。。。
そして、グリシャが書き記した壁の外の世界が描かれます。
グリシャが少年だった頃。そこは、第二次世界大戦のドイツのような都会の町並みが広がっています。
空には飛行船が飛んでいます。
少年のグリシャは幼い妹のフェイと、飛行船を追いかけて検問を抜けます。
2人は、ダビデの星(ユダヤ人を示す)に似た☆型の腕章をしています。
腕章をした人たちは壁のなかに閉じ込められているようです。
そうです、ヒトラーのドイツ時代に、ユダヤ人を閉じ込めたゲットーに似た状況が描かれているのです。
壁の外の一般人は姉妹の腕章をみて「悪魔の血か」とつぶやきます。それを聞いて2人は怯えますが、グリシャはさらに進み、土手のむこうで飛行船が停泊しているのを見つけました。
ところが土手には、治安部隊の制服をきた男2人がいました。
男は言います。「レベリオ収容区のものだな。外出許可書を見せろ」
しかし、グリシャはもちろん持っていません。
「無許可で市内にはいったんだな。労働か制裁か」と男はグリシャにいい、
グリシャは「制裁を 妹の分も僕に制裁をください」
男はわかったといって、グリシャに思いきり膝蹴りにします。さらにもう一発。
それを見ていたもう一人の治安部隊の男が「まったく容赦ねぇな、クルーガ ほらお嬢さんは先に帰ろうね」といって、妹を連れて行きます。
クルーガーは倒れたグリシャに「腕章を外さなかったことは賢い たとえガキでも外で腕章を外したエルディア人は『楽園送り』だからな」
と言います。
グリシャが家に帰ると、妹はいませんでした。
翌日、川で発見されました。野犬に食われた状態で死んでいたのです。
妹の死をグリシャの家に報告にきたのは、この「マーレ治安当局」2人でした。
妹を送ったという男は、リベリオ収容区の手前まで送ったが忙しかったからその後は知らないといい、「そもそもエルディア人が無許可で外にでるのが悪い」といいます。
母は泣き、父は愛想笑いをしながら「ご指導いただきありがとうございました」とまでへりくだった。
父は2人がかえったあと、「正しい歴史」をグリシャに教育します。
1820年前、われわれの先祖のユミル・フリッツは大地の悪魔と契約して、巨人の力を手に入れた。
ユミルは死後、9つの巨人に力をわけ、エルディア帝国を築いた。
エルディアは、古代の大国マーレを滅ぼし、大陸を支配した。
そこからが暗黒時代となる。
ユミルの民(エルディア人)は、ほかの民族を下等民族と決めつけ弾圧をかけた。
エルディア人は他の民族に子を産ませ、ユミルの民(エルディア人)を増やし、民族浄化を1700年もかけて行った。
マーレが増長したエルディア帝国の内部分裂をはかり、9つの巨人のうち7つを手駒にして、80年前に巨人大戦でマーレが勝利した。
エルディア帝国のフリッツ王は、残された国土の島「パラディ島」に逃げ、3重の壁を築いた。
大陸に残された我らエルディアの残党は、マーレに根絶やしにされてもおかしくないのに、寛大なるマーレは生かしてくれている
と、悪魔の血である自分たちがいかに存在の許されないものか父は説いた。これに対して、息子は「犬」と軽蔑しながら聞いていた。
怒りをためながらもあきらめたグリシャだったが、父のあとをついで医者となった18歳のとき、エルディア復権派、つまり反体制地下組織に誘われる。
「あなたの妹はマーレ当局の男に殺された」というマーレにいる内通者「フクロウ」の内部情報とともに。
フクロウはさまざまな「歴史の真実」とともに、マーレに残されたエルディア帝国王家の唯一の生き残りの女性ダイナ・フリッツを送り込む。
ダイナは、9つの巨人のうち、王家が持つ「始祖の巨人」がほかのすべての巨人をコントロールする力をもっている秘密をあかす。
145代のフリッツ王が、始祖の巨人の力を封印して、パラディ島へ遷都してして、戦うことを放棄したことが、いまのエルディア人たちの惨めな暮らしにつながるとした。
そのため、フリッツ王から始祖の巨人を奪還して、本当の王家つまりダイナに返そうということが組織の目標となる。
その後、リーダーとなったグリシャとダイナは結婚し、男児を生む。
それがジーク
つまり、のちの獣の巨人であった。
マーレも、パラディ島には化石燃料が埋蔵されていることから、パラディ島に侵入して、始祖の巨人を奪う計画をたてる。
表向きは、パラディ島のフリッツ王が宣戦布告したために防御のために、マーレが持つ7つの巨人の器となる子供をマーレに忠実な戦士として一から育てるというものだった。
グリシャとダイナは、ジークをその戦士養成機関に、スパイとして送り込むことを考えつく。
エルディアの誇りをもちながら、マーレには服従したふりをして、巨人の力をもつ戦士となり、戦士となったらマーレを裏切るように教え込んだのだ。
ところが、ジークは7歳になったときに、両親を通報した。
そして、地下組織のメンバーは全員摘発され、楽園送りになった。
楽園送りとは、永遠にさまよう人食い巨人になることだと明かされる。
つまり、これまでエレンたちが戦ってきた人食い巨人とは、大陸のマーレにいたエルディア人だったというのだ。
衝撃の事実が明かされた21巻であった。
【外の世界の歴史】(エルディア人に伝わる歴史とマーレが教える歴史のミックス)
・1800年前 エルディア人(ユミルの民)の始祖の女「ユミル・フリッツ」は大地の悪魔と契約して巨人の力を入手
・ユミルは巨人の力で荒れ地を耕し、橋や道を作り、エルディア人を豊かにし、エルディア帝国ができた
・ユミルは死後に、巨人の力を「始祖の巨人」など9つの巨人に力をわける
・エルディア帝国は大陸の大国マーレを滅ぼす
・ユミルの民(エルディア人)はその後、1700年にわたり民族浄化をすすめる
・100年前、増長したエルディア帝国のすきをつき、マーレが内部離反をしかけ、9つの巨人がバラバラになり戦いあい、巨人大戦が勃発
・145代フリッツ王は離島のパラディ島へ遷都。戦争を放棄し、巨人をつかって3重の壁をつくり、国民とともに「鎖国」し、「不戦」の誓いと干渉してきた場合は巨人を放ってマーレを滅ぼすとの警告で引きこもる
・大陸に残ったエルディア人たちはマーレによって「悪魔の血」として危険視され隔離される
・マーレに逆らうなどしたエルディア人は「楽園」へ送られる
・楽園とは、パラディ島のことで。マーレのエルディア人にとっては永遠の流刑地
・パラディ島でマーレによって巨人化させられた人たちがエレンたちを苦しめた巨人だった
・つまり、エレンたち壁のなかの人たち(ユミルの民)はみんな巨人になれるエルディア人であった
22巻に続く。
ここで、重要なキーワードがでてきました。
・エルディア人
・楽園
・マーレ