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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

黒田官兵衛の一生(生まれる前編)

ぶろぐ村の歴史書部門で1位になりました。文末のボタンを押してくれるみなさん、ありがとうございます。これからも面白い歴史ニュースと本をうんちくとともにお伝えてしていきます。

前口上はこれくらいで。。。

NHK大河に選ばれた黒田官兵衛黒田如水)のことを昨日に続いて。(出版社編集者のみなさま、恵美嘉樹は「官兵衛×ゆかりの地への歴史旅」の企画など温めております!)

棚からひとつかみで、小和田哲男さんの『黒田如水ミネルヴァ日本評伝選を読んでいます。今回かなり辛口です。

歴史シリーズは、いにしえから最も格の高い吉川弘文館人物叢書があり、追随するのが、このミネルヴァの日本評伝選だけ(事実上)でしたが、最近、山川出版が薄いブックレット「人」シリーズで参入してきました。

ぶっちゃけ、ミネルヴァのこの人物シリーズは、誤植や系図が間違っていたりなことが多いという印象があります。

書く人も、けっこうとんでもな人がいて
例えば

古田武彦さんと言えば、歴史界に燦然と輝くトンでも学者で、偽書の「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」のプロデューサとして悪名をとどろかしています。(事件の顛末は下の本に)。ヒミカって・・・、トミカ?。

偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1)

偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1)

あとは、新しい歴史教科書を作る会の会長をしていた田中英道さんだとか。

とはいえ、吉川弘文館人物叢書のラインナップにない人物の評伝が多いので、重宝します。
で、黒田官兵衛さんも、人物叢書にはないですね。裏をかえすと、一次史料など信憑性の高い史料が少ないことをうかがわせます。
ただ小和田さんは、戦国史の大家で、決してトンでもではないことは明記させていただきます(ついでに字も大きく)

秀吉の天下統一戦争 (戦争の日本史)

秀吉の天下統一戦争 (戦争の日本史)

もちろん、吉川弘文館からも本も出しています。

今回は、黒田官兵衛のお父さん以前について

結論は、豊臣秀吉に準じるくらいの下克上だった

先祖は、摂津源氏の佐々木信綱であると黒田家公称ではなっていますが、播磨(兵庫県の瀬戸内側)出身の武士はたいてい佐々木が先祖と言います。なぜかというと、源平合戦のハイライトの一ノ谷の戦い兵庫県神戸市)で大活躍した地元のヒーローだからです。あとは察してください。

黒田の名前の由来も、公式(福岡藩の家臣で有名な学者の貝原益軒江戸前期にまとめた『黒田家譜』)には、佐々木氏とゆかりのある近江の伊香郡黒田邑(むら)とされていますが、どうも実際は播磨国の黒田(兵庫県西脇市黒田)のようです。


大きな地図で見る
近江の黒田


大きな地図で見る
播磨の黒田

端的に言って、ご先祖をたどることは意味なしです。江戸時代に作られた家計簿、じゃなくて家系とみていいでしょう。

基本的には、農家のリーダーで、商売を手広くすることで、官兵衛の祖父の頃になって、武士になったようですね。もちろん戦国時代は、身分が固定された江戸時代と違って武士と農民・商人との行き来は割と楽です。

で、どんな武士だったかというと、お父さんが大名の家臣だったのですが、

足利将軍―赤松氏(守護)→宇野氏→小寺氏→黒田父・子(官兵衛)

と、最後の小寺氏に仕えていたのです。黒田組は5次団体でした。
ここから、「赤松氏(守護)」クラスまで駆け上がるのですから、やはり黒田官兵衛はヒーローです。

というのが結論。


歴史マニア以外はこれより下はパスで、どうぞ。


ただ、恵美が気になっているのは、この本が、これまた偽書説が根強い「武功夜話」を参考文献にいれて、引用しているところ。これが疑問点の第一。

ちなみに、恵美は武功夜話偽書と思っています。内容についてはいざ知らず、資料のあり方が今のところ、東日流外三郡誌と同様に現代人の手によって加工された形で世に出ているからです。ちゃんと、現物を公表したら偽書説を引っ込めますって、偽書説の人はみなそうおもっているはずです。「偽書と疑われているから出せない」というのが公表しない理由なのだそうですが、はっきり言って意味不明です。

第二点目が、官兵衛の若い頃の話や先祖についての説明の根拠が、大正時代につくられた伝記の金子堅太郎『黒田如水伝』な点も、うーん??と疑問符。
きのうのエントリーでも書いたようにこの「黒田如水伝」は、信憑性の低いものもたくさん集めたもので、扱いには慎重にならないといけません。

例えば、本書では『黒田如水伝』が引用する「夢幻物語」と「村田出羽伝」を引用(つまり孫引き)し、官兵衛のお父さんの時代について説明するのですが、(18P)

 「村田出羽伝」では、目薬の販売で成功したのを黒田美濃守のときとしている。(略)重隆・職隆の父子二代の時代とみれば問題はないと思われる。

 の文に続いて、

 この点、金子堅太郎氏が、「夢幻物語と云ひ、村田出羽守と云ひ、其の記事は悉く信用すべからず(後略)」

 ???? 黒田如水伝を書いた本人が「信用できない文献です」と言っているのに、その資料に基づく話を、「問題はないと思われる」って、もうどっちを信じればいいだかわからんです。

 ということで、読み進めるのに時間がかかります。いちいちつっこみ入れていると。

小和田さんは毎月のように本を出しまくっているので、ちょっと乱造気味、資料の扱い方が雑なのではないのかとは感じています。


インフォーシークウーマン エンターテーメント10月12日より

専門筋が期待寄せる V6岡田准一の「黒田官兵衛
  再来年のNHK大河ドラマが「軍師官兵衛」に決まった。主役の黒田官兵衛を演じるのはV6の岡田准一(31)。ジャニーズ事務所に所属するバリバリのアイドルだ。
  チーフプロデューサーの中村高志氏は、「信長、秀吉、家康に重用され、戦国乱世の真っただ中に生きた魅力的な人物。人間の面白さ、悲しさ、滑稽さが詰まっていて、見る人を飽きさせない」と強調したが、一般的なイメージは「腹黒い策士」といったところだろう。実際、過去の大河では、江守徹伊武雅刀などクセのある役者が演じてきた。さわやかなアイドルには荷が重そうだが、歴史作家の加来耕三氏は「本当の官兵衛は、いわゆる策略家ではない」と言う。
 「あの時代に求められた知略は、敵方の武将を味方に寝返らせること。官兵衛はそれが優れていた。本音を誠実にぶつけ、相手を納得させるのがうまかったのです。ストレートで真っ当な性格。それゆえに失敗もしている。荒木村重に捕らえられて牢獄に入れられたり、秀吉に『機運が来た』と進言して疎まれたり。本当の策士なら、そんなヘマはしません。知恵はあったが人間味もあった。陰湿で老獪(ろうかい)なイメージは誤りです。若々しい岡田クンは適役だと思いますよ」
  意外や意外、「岡田官兵衛」に期待するのだ。
 
 <隠れた実力>
 
  もともとほかのジャニタレと違って、演技力は評価されているとか。放送評論家の鈴木嘉一氏がこう言う。
 「最近は『天地明察』や『花よりもなほ』といった時代劇で確かな力量を見せています。警察官役の『SP』の演技力も光った。いわゆるアイドルとは一線を画す実力派です。官兵衛は早くに隠居し丸刈りとなりますが、当時27歳のフレッシュな中井貴一武田信玄を演じきった。1年をかけて、少しずつ役とともに成長していく大河の特性を考えれば、視聴者は違和感を持たないと思います」
  松ケンの清盛は大コケで、視聴率は2ケタがやっとの低空飛行。それでも岡田の抜擢は、「ジャニーズで手堅く客を引っ張ろう」とかいうスケベ心だけではないようだ。
 (日刊ゲンダイ2012年10月11日掲載)

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