歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

アフガンの仏教遺跡を中国の銅山のために破壊は蛮行?ブーメランがくまモンに刺さる


 きのう(2013年4月24日)のNHKニュースで流していました。
 わずか1分の動画だけでもすばらしい遺跡だと分かりますが、これを破壊してしまうと。。。
 「これはひどい」と言いそうになりましたが、当局者の3万5000人の雇用どうするとのコメントにはぐさりと来ます。
 ご存じのように、アフガニスタンはいまだテロと内戦が続いているような状況。貧しいままでは既存の遺跡すら守れないということだって現実的にはあるでしょう。
 なので大上段に「ひどい」と批判すのではなく「これは哀しい」と表明させていただきます。


アフガニスタン 遺跡破壊し銅採掘へ NHKニュース アフガニスタン 遺跡破壊し銅採掘へ NHKニュース

NHKニュース


アフガニスタン中国企業が開発を計画している、銅の鉱山で見つかった、貴重な仏教遺跡について、アフガニスタン政府の高官は、来年中には遺跡を破壊し、早ければ来年末にも銅の採掘を始める方針を明らかにしました。

この遺跡は、中部ロガール州の銅の鉱山で見つかった、2世紀から7世紀の仏教遺跡「メス・アイナク」です。
中国の国有企業が鉱山の開発を計画していますが、アフガニスタン政府は、開発をいったん延期して、遺跡の発掘調査を行い、これまでに多くの仏像や壁画などが出土しています。
アフガニスタン鉱工業省のハリブ局長は、NHKのインタビューに対し、発掘調査はことしの6月末までには終了し、その後、中国企業との間で開発の準備を進めると説明しました。
そのうえで、「われわれと中国企業は、今のままでは損をしているだけなので、できるだけ早く銅の採掘を始めて利益を得たい」と述べ、来年中には遺跡を破壊して、掘削工事用の施設を建設し、来年末か再来年の初めには銅の採掘を始める方針を明らかにしました。
また、一部の考古学者が、鉱山の開発を断念し、遺跡を保存するよう訴えていることについて、ハリブ局長は「鉱山の開発によって、3万5000人の雇用と、年に10億ドルの経済効果が期待でき、海外からの投資も増える」と指摘し、アフガニスタンの復興を加速させるためにも開発を進める立場を示しました。

われわれ日本はそれほど立派なのか

 ではひるがえってわが国で、重要な遺跡が発見された場合には、ことごとく守られているかというと、そんなことは全然ありません。
 
 近年では、大和古墳群(おおやまと)の破壊があります。この一帯は最古の神社のある三輪山のふもとで、箸墓をはじめとするヤマト発祥の地にある古墳群です。

 箸墓は別の古墳群ですが、先日、箸墓と一緒に調査された西殿塚古墳が大和古墳群の盟主です。箸墓の調査では、やっぱり「卑弥呼」に近づくことはなかった模様 箸墓の調査では、やっぱり「卑弥呼」に近づくことはなかった模様 - 歴史ニュースウォーカー

 ここに渋滞を減らそうとバイパスを通すというので、最近、いくつかの古墳が破壊されています。
 アフガニスタンのケースは、調べてみたらたまたま見つかった、ですが。わが日本の場合は、知っていて、それもヤマト発祥の地の古墳群を壊したのです。
 どっちのケースが「これはひどい」か「これは哀しい」となるでしょうか。
 
例えばこういうブログ「歴史ロマン探検隊」もありますが、恵美嘉樹も賛同です。

 仙道はなにも開発してはいけないなどと言っているのではないのです。ここは貴重な場所だから完全な調査が済むまで工事を延期するか、計画を見直して路線を変更して欲しいのです。
何も古代の遺跡だからといって全て破壊してはいけないとは思っていません。
しかし、大和古墳群は未知な部分が多すぎて、しかも、(ここが重要なんですが)大和朝廷発祥と関わりがあり、しかも邪馬台国大和説の同年代の古墳が存在しているからです。


 文化財がらみでは、こんな記事もありました↓。
 くまモン人気で、テーマパークとなっているんでしょうかね。。。
 熊本城の本丸御殿の復元はきちんとしていたと思っていましたが。

テーマパークかと批判された熊本城の整備計画 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) テーマパークかと批判された熊本城の整備計画 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

Kumamoto-jo(Castle) / 熊本城(くまもとじょう) - 無料写真検索fotoq
photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

読売新聞2013年4月24日

熊本市文化財保護委員会(小堀富夫委員長、12人)は23日、熊本城の整備や運営に関し文化庁が指摘した問題点について協議した。

 委員からは現状への批判が相次ぎ、市文化振興課は委員会後、「熊本城の整備計画を遅らせることも検討する」と表明した。

 熊本市は、天守閣の西にある戦後再建された平左衛門丸塀の調査や石垣の修理を行っている。

 この復元に対し、文化庁は2月、歴史学や考古学の知識を持つ専門家の組織を作ることなどを文書で要請。城全体の石垣の崩落箇所を詳しく調べ、石垣整備計画を立てることも求めた。また、熊本城全体の活用の状況については「史跡の理解や保護に負の影響を与えかねないものがある」と指摘した。

 文化庁はさらに、同庁に出向いた市の担当者に対し、「熊本城の調査研究が不十分」「市の城の運営は客寄せに見えかねない」などと厳しく指摘したという。塀の調査や石垣修理は文化庁のこうした指摘を受け中断した。

 23日の委員会では、熊本大の北野隆名誉教授(建築歴史学)が「古いから文化財なのに、このままでは平成の時代に建てられた熊本城になってしまう。催し物ばかり開かれていてテーマパークのようだ」などと批判。他の委員からも「本来の文化財行政をせず、観光振興ばかりやっている」という意見が出された。

 これに対し、市熊本城総合事務所の松本祐一所長は「原点に立ち返って、保存と活用のバランスを考えていく。復元のスピードを抑え、城の調査研究をする」と表明した。

そうごう大宮にくまもん登場 - 無料写真検索fotoq
photo by Norio.NAKAYAMA

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