歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

 きょうの歴史ニュースアラカルトは、「震災小特集」です

 きょうもたまった歴史ニュースを小出しに、蔵出し! 
 第一特集が「震災」、第二特集が「水」、第三特集が「世界遺産」そして、最後は時代ごと、のラインナップです。

 原稿用紙なんと25枚分!ごゆっくりお読みください。

 まずは、地域の誇りをとりもどそうと寒い中、発掘しているみなさん、がんばってください。エールをおくります、なニュース。

 震災の被災地では今、復興住宅などの建設を前に必要な手続き=遺跡の発掘がラッシュです。

 当然、人繰りは足りません。しかし、いずれ「不要(誤解を恐れず言えば)」になるスタッフです。復興工事が「着手」になった段階で、発掘はいらない公共事業になってしまうからです。

 恵美嘉樹は、震災の復興には、歴史に基づく地元の人たちの誇りの回復が絶対に必要だと思っています。そのために、発掘調査を行うことは省いてはいけないでしょう。
 とは言え、人口の少ない地域で、発掘の専門家をたくさん公務員として雇うと、いずれ住民から「おれたちの税金使って、なにもしねえ」とか言われるのも、お互いに酷です。

 では、IPS細胞の山中教授も問題提起したように「10年の有期雇用で研究員を雇っても、10年たったら彼らはどうするのか」という意見ももっともです。
 ノーベル賞クラスの研究室でも、そうなのですから、歴史・考古学・文学などを学ぶ学生たちにとって、一番の問題は、学んだ専門をいかせる仕事でしょう。

 ずばりと、いい答えはないでしょうけど、こうして、社会の関心を高めつづけるしかない気がします。

 読売新聞はこの問題について、長く追いかけていますね。
 
 

  • 被災地では埋蔵文化財の調査員が人は足らず、スケジュールは厳しい -読売新聞岩手

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20121113-OYT8T01342.htm

 東日本大震災の被災地で、高台移転などの復興・復旧工事が本格化する新年度に向けて、着工前に必要な埋蔵文化財調査にあたる発掘専門職員の不足が懸念されている。国や県、被災市町村は、全国からの派遣の増員や民間委託の模索など、確保策を迫られている。(小坂一悟)

 大船渡市の越喜来湾に程近い高台にある縄文中期の集落跡。8日午後、発掘専門職員の首藤久士さん(30)は「表面に黒いススが付いている。料理用だったのかも」と、出土した10センチ四方の土器片を眺めた。
 標高90メートルの高台には、防災集団移転促進事業(防集)で同市崎浜地区の20戸が移り、災害公営住宅12戸も整備される計画だ。調査後、来冬の着工を目指している。

 「とにかく急いでくれ」。4月に浜松市から派遣された首藤さんは被災者に掛けられたその言葉を思い出し、7人の作業員と毎朝8時半から日暮れまで調査に没頭する。「調査成果を公開して住民に還元することで報いたい」と意気込む。
 大船渡市の専門職員は、首藤さんと盛岡、北上両市からの各1人を含め計4人。防集は22地区で計画されており、市教育委員会は「新年度は3〜4人増員しないと対応できない」と漏らす。

 他県や県内陸部から派遣されている専門職員は県に10人、市町村に計6人いる。新年度は調査地が少なくとも10数か所以上増える見込みで、県教委は必要な派遣数を県と市町村で計25人前後と見積もっている。
(長いので略しますが、いい記事なので、リンク先で全文をぜひどうぞ)

 震災からの防災は、「災害を防ぐ」ではなく、「災害からの被害を最小限に防ぐ」しかありません。
 つまり、準備するということ。
 
 あと数十年のうちに、来るとされる南海トラフ地震。前回が70年前。平均的な間隔は90年〜150年くらいだそうです。
 正直、来年くるかもしれないけど、そうなったら手は出せませんが、あと20年あると、ここは楽観的に考えて、ぜひ対策を進めてほしいものです。
 香川は瀬戸内海側ですから、津波の心配はほかの四国3県に比べれば引くそうですが、ここはじっくりと。

ソースURL: http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/20121118000111

 香川県はこのほど、2013年度から5年間の県文化芸術振興計画の素案を発表した。巨大地震などの災害を想定し、文化財の被害を最小限に食い止める「レスキュー計画」を策定すると明記。
(略)
 県内の文化財の保管場所などを把握し、災害時の保護や復旧に活用する「レスキュー計画」を策定することも盛り込んだ。

 文化財はとても多いので、まずは地元が「所在地」を確認するのが第一歩です。
 若者たちよ。重文だけでなく、小さな文化財にまで手を広げてください。A3なんて紙使わなくてもいいから、若者らしく、グーグルマップで。

 大田市の邇摩高で異文化理解の授業を受けている3年生9人が今月、石見銀山遺跡(同市)にある国重要文化財熊谷家住宅のガイドマップを完成させた。同校元外国語指導助手(ALT)の翻訳による英語版も制作。外国人にも日本の伝統的な生活ぶりを伝える。
 16、17日の同校文化祭で展示。月内に熊谷家住宅へ贈り、観光客に配ってもらう。
 マップはいずれもA3判で10センチ四方に折り畳んだ。面積や部屋数のほか、季節に応じた部屋のしつらいやかまどを使ったごはんの炊き方など、江戸時代の暮らしを紹介した。
(略)

  • 伊賀市史「資料編近世」(5千円)で、1854年の大地震の記録の史料盛り込む。忍者だけでない 毎日新聞 三重

http://mainichi.jp/area/mie/news/20121018ddlk24040326000c.html

 伊賀市は11月1日、「伊賀市史第5巻 資料編近世」を発売する。藤堂高虎の統治から幕末、明治維新までの史料555点を収録、全10章にそれぞれ解説文を付けた。既に刊行された資料編の「古代・中世」、「近現代」と合わせ、史料の通読が可能になった。
(略)
 掲載した史料には、「嘉永七年(1854)六月 大地震の記録」などと内容の骨子を付けた。伊賀地域の特徴を前面に出した構成としており、「伊賀者」と「無足人」について1章を割いた。忍者のイメージが強い伊賀者は、実際には藤堂藩の家臣として百姓一揆の情報収集にあたったことなどが分かる。無足人は、戦時に歩兵として動員される農民で、藩内各地に組織的に配備したのが特徴という。本書では1715人分の無足人帳(名簿)を掲載している。
(略)

きょうの第二特集は「水」です!

  • 京都の舞鶴で明治時代の水道施設(重文)が初公開されました。

水道といっても上水道ではなく、軍艦などに供給するためのもののようです。まあ上水道か。

リンク先では、動画が見られますよ。
NNNニュースソース 
http://news24.jp/nnn/news8895764.html

次は笑ったらかわいそうだけど、なんだか笑ってしまう、水に流したいドジな話。

広島県で、環境省の名水百選に選ばれている「出合清水(であいしみず)」という湧き水が、近くの湧き水の名前と勘違いされていて、問題となっています。30年ぶりに判明したのだとか。
出合清水ではなく、どうやら「今出川」という名前が正しかった?うーん、ややこしい。
出合清水のほうが、観光的には売りになりますしねぇ。

  • 名水百選の湧き水の名前間違えていた -中国新聞広島 

ソースURL: http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201211180025.html

 広島県内の湧き水で唯一環境省の名水百選に選ばれている府中町石井城の「出合清水(であいしみず)」が近くの湧き水と名前を取り違えられていた問題で、府中町教委は17日、同町のくすのきプラザで説明会を開いた。
 町民や歴史愛好者ら約20人が出席。町文化財保護審議会会長で島根県立大名誉教授の横田禎昭さん(72)=東洋考古学=が、1978年に編さんした町史や85年の名水百選の選定時の調査が不十分だったことなどを解説した。
 出席者からは「単なる訂正でなく経緯も大切だ」「名前が変わっても清掃活動は続ける」などの意見が出た。町教委は、今後の対応について「看板や観光パンフレットの訂正文は、慎重に検討する」などと答えた。
 環境省も近くホームページやパンフを訂正するとしている。
 「出合清水」は、町史に写真付きで紹介されていた記述などが誤っていたため、約120メートル離れた湧き水「今出川(いまでがわ)」と名前が取り違えられていた。横田会長の調査で、約30年ぶりに間違いが判明した。


きょうの第三特集は、みんな大好き「世界遺産」ニュース

http://mainichi.jp/feature/news/20121118ddlk03040014000c.html

  • 福島・国見町の阿津賀志山防塁で現地説明会

http://www.mahoron.fks.ed.jp/bosyu/2012gensetsu_atsukashi2.htm

  • 岩手・奥州市の「漆町遺跡」(平泉時代)は大きな溝に囲まれた集落だった 岩手日日

http://www.iwanichi.co.jp/tankoh/item_31986.html

北海道・北東北で縄文遺跡をがばっとまとめて世界遺産にしようという動きの続報です。
どんどん遺跡が増えているようで。まあ、縄文遺跡の優越なんて、誰も決められないもんですからねぇ。

  • 18遺跡世界遺産目指す 4道県縄文遺跡群

YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20121113-OYT8T01596.htm

 北海道と北東北3県にある縄文遺跡群の世界文化遺産への登録を目指す「世界遺産登録推進会議」は13日、盛岡市内で会合を開き、登録を目指す遺跡群リストにあらたに3遺跡を加え、18遺跡とすることを決めた。12月に開催される「世界遺産登録推進本部」(本部長・三村知事)で承認されれば、正式に決定となる。
 新たに遺跡群に加わったのは、大森勝山遺跡(弘前市)、キウス周堤墓群(北海道千歳市)、垣ノ島遺跡(函館市)。大森勝山遺跡は、縄文時代晩期(約3000年前)では最大規模の環状列石がある。
 また、専門家から「遺跡の内容の説明材料が乏しい」と指摘されていた田小屋野貝塚つがる市)も、市が追加で発掘調査の結果を報告し、専門家が遺跡の価値を認めたため、遺跡群に残留することとなった。
(略)

毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121114-00000084-mailo-l05

 【青森県】9遺跡
大平山元1遺跡(外ケ浜町)
田小屋野貝塚つがる市
亀ケ岡石器時代遺跡(つがる市
三内丸山遺跡青森市
二ツ森貝塚七戸町
小牧野遺跡(青森市
大森勝山遺跡(弘前市
長七谷地貝塚八戸市
是川石器時代遺跡(八戸市
 【岩手県】1遺跡
御所野遺跡(一戸町)
 【秋田県】2遺跡
大湯環状列石鹿角市
伊勢堂岱遺跡(北秋田市
 【北海道】6遺跡
キウス周堤墓群(千歳市
入江・高砂貝塚洞爺湖町
北黄金貝塚伊達市
鷲ノ木遺跡(森町)
垣ノ島遺跡(函館市
大船遺跡(函館市

そのほかの歴史ニュースもざざざーーーーっと
弥生時代

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/334000
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/334004

http://www.isenp.co.jp/news/20121115/news06.htm

http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20121109/news20121109510.html

古墳時代

  • 島根・松江の東淵寺古墳(6世紀後半)の発掘調査 

  前方後円墳前方後方墳かは不明のまま    毎日新聞 島根、MSN産経
http://mainichi.jp/feature/news/20121116ddlk32040580000c.html
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121115/smn12111502070000-n1.htm

【奈良・平安時代

  • 上野国分寺跡(群馬)を20年ぶりに調査再開 朝日群馬

http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000001211130001

  • 岡山の笠岡諸島の飛島の祭祀遺跡(奈良〜平安)を紹介する冊子(1000円)を販売 出土品は重文- 山陽新聞

 ニュースソースURL: http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2012111710200749/

  • 山口の尾尻遺跡で9世紀の銅印「三川私印」が見つかる 毎日新聞 山口

http://mainichi.jp/feature/news/20121117ddlk35040338000c.html


【戦国時代】

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201211180043.html

http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20121108000024


【江戸時代】

  • 佐賀城の天守閣の基礎は九州で最大? 読売新聞 教育

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20121114-OYT8T00843.htm

【伝統文化】

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20121118/CK2012111802000137.html

琉球

  • サーターヤー跡を復元だそうです。うーん、なんでしょう。沖縄のことはもっと勉強が必要です。琉球新報

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121114-00000018-ryu-oki
 
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