歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

きょうの歴史ニュース。修復中の日本史

 きょうの歴史ニュースのアラカルトは、「修復」をテーマに時代別に、ピックアップしました。
 震災後の文化財の修復を含め、日本の誇りとなる歴史を支えているのは、「モノ」であり、それを維持管理する「修復」という行為です。歴史を愛する人たちにはぜひこうした地味なことにも、時々、ちらっと目を向けてほしいというのが恵美嘉樹の思いです。

鎌倉時代

 室町時代の仏像からは足利尊氏の髪の毛が見つかりましたが、これも中になにかあるんでしょうかねぇ。エックス線調査したら、空洞あるかもしれません。まあお金がかかるのでやらんでしょうけど。

釈迦如来立像 修復終え公開 日田市立郷土史料館 / 西日本新聞
ソースURL: http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/333255

2012年11月9日 00:34 カテゴリー:九州 > 大分
 日田市教委が昨年7月から行っていた、同市大山町の釈迦(しゃか)堂にあった木造釈迦如来立像の修復作業が終わり、同市北友田の岳林寺境内の市立郷土史料館で一般公開している。鎌倉時代の作とみられる立像は7年前まで、小さな釈迦堂にひっそりと安置されていた。偶然目にした専門家が「価値ある仏像」と指摘したことをきっかけに昨年3月、同市が有形文化財に指定した。
 市教委によると、ヒノキ材の寄せ木造りで像高66・2センチ。釈迦堂近くにあったとされる寺院・伝真庵の本尊だった可能性があるという。漆を塗った上に金箔(きんぱく)を施す漆箔(しっぱく)の技法、適度な量感や自然な表現から、鎌倉時代の13世紀半ばから後半の作とみている。
(略)

=修復が終わり、公開されている木造釈迦如来立像

=2012/11/09付 西日本新聞朝刊=

【戦国時代】

  • 城の石垣はメンテナンスが必要

 ずっとほっといても城は強固と思いがちですが、城は定期的なメンテナンスが必要なんです。
 だから、江戸時代になっても各藩には、城作りの「穴太(あのう)衆」をかかえていたわけです。江戸時代になったら新しい城を作るのは御法度です。それでも維持管理にはプロがひつよう。
 シンドラーエレベーターで再び死亡事故が起きましたが、「あの事故のあとも、まだこの会社あったんだ」と意外に思いましたけど、新規の販売はもうしておらず、メンテナンスで営業を続けているようです。
 それと同じです。

福岡城跡の石垣修復工事を一般公開 : 歴史と文化財 : 文化 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
ソースURL: http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/history/20121109-OYS8T00839.htm
 国指定史跡・福岡城跡(福岡市中央区)で進む石垣修復工事の一般公開が、9日始まった。工事が終わる2014年3月まで専用の見学台が設けられ、石垣の解体から積み戻しまでの全工程を見学できる。
 公開されているのは、福岡城の正門にあたる「」の石垣修復現場。石垣が外側に膨らみ、崩壊の恐れも出てきたため、石や土をいったん取り除き、同じ場所に積み上げる工事を7月から行っている。

=見学台(左上)からの一般公開が始まった福岡城跡の石垣修復工事(9日午前、福岡市中央区で)=中司雅信撮影
(2012年11月9日 読売新聞)

【江戸時代】

  • 三重・鳥羽の大庄屋さんの邸宅修復完了

 三重県の伊勢周辺は、明治になって、伊勢神宮が「国直営」となったことで、門前町でホテル業界を展開して大金持ちになった人たち(御師)がみな没落しています。ここは、江戸から第二次大戦まで生き残ったとはたいしたもんですね。

 ちなみに、きのうのエントリーの7万年前の人類史上最大の噴火を起こしたのが、インドネシアのトバ山です。それだけの話ですが・・・。

旧広野邸:母屋の修復完了 江戸・大庄屋の面影、今に 来春一般公開??鳥羽市教委 /三重− 毎日jp(毎日新聞)
ソースURL: http://mainichi.jp/feature/news/20121109ddlk24040161000c.html
毎日新聞 2012年11月09日 地方版
 江戸時代の大庄屋の住宅「旧広野邸」(鳥羽市鳥羽4)で行われていた母屋と内蔵の修復工事が完了し、8日、市関係者が視察した。市教委は今後、土蔵も修復し、来春、3棟=いずれも瓦ぶき木造2階建て=を一般公開する。【林一茂】
 広野家は「かどや(角屋)」と呼ばれる鳥羽随一の資産家で、代々「藤右衛門」を襲名。江戸後期に薬店を創業するなど、第二次大戦前まで手広く商売を営んでいた。04年に市に寄贈され、06年には鳥羽の歴史的な町屋の景観を伝えているとして国登録有形文化財となった。
 1825(文政8)年に建てられた母家は249平方メートルで、東半分は明治時代に増改築された。ステンドグラス風の色ガラスや障子、欄間に手の込んだ細工が施され、資産家の邸宅の面影を残す。
 内蔵は41平方メートルで、津波に備え花こう岩の石積み基礎の上に建てられ、市指定有形文化財の長尾オルガンが保管されていた。修復予定の土蔵は20平方メートルで、内蔵同様に津波の備えた造りだ。
 修復工事は昨年末から行われ、母屋の外観は明治30年代の写真などを参考にして再現した。
(略)

【近代】

  • 美しい近代化遺産を修復

ホフマン窯とは、ドイツ人のホフマンさんが発明した方式のレンガ窯です。ここを含めて日本には8か所が現存(解体すみも含む)してます。記事にあるように、輪のように炉室が並ぶので、なかはとても広く、まるでローマの円形競技場のような美しさです。復元して観光できれば、魅力的な観光スポットになることでしょう。

ホフマン窯、半世紀ぶり修復へ 舞鶴の財団 :
京都新聞ソースURL: http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20121109000058

 保存修復に向けた工事が始まるホフマン窯。特徴的な煙突は調査と倒壊防止のため切り離されている(舞鶴市西神崎) 約半世紀の間補修されず放置されていた国の登録有形文化財「ホフマン窯」(京都府舞鶴市西神崎)で27日、修復工事が始まる。風化を防ぎ今後の全体修復につなげる初期工事で、管理する財団法人は「時間はかかるが、地域の誇りとして将来に残る場所にしたい」と意気込んでいる。
 ホフマン窯は1897年に作られ、旧海軍舞鶴鎮守府などの建設に使われたれんがを生産。大正時代に輪のように炉室が並ぶ「ホフマン式」に改修され、1950年代後半まで使われた。その後放置され壊れていたが、2004年に舞鶴文化教育財団の理事が取得し、財団が10年度から修復に向けた調査を行っていた。
 調査で窯や煙突の劣化がわかったため、今回の工事では窯全体を覆う屋根を設置してこれ以上の風化を防ぐ。また全体補修に向けた工法の検証を兼ね、窯中央部北側を幅約6メートルのみ内部見学できるように修繕。完成は来春予定で、工費約7500万円のほぼ全額を財団が負担する。
(略)

【 2012年11月09日 11時35分 】


続報

読売新聞(2012年11月28日 読売新聞)

舞鶴市西神崎に残る国登録有形文化財のレンガ窯「神崎ホフマン窯」の修復に向け、窯全体を覆う上屋の起工式が27日、行われた。

 旧海軍港を建設するレンガを造るため、1897年(明治30年)に登り窯として整備。大正末期に連続焼成できるホフマン式に改造した。1958年まで稼働したが、近年、全体が倒壊する恐れが高まり、窯の所有者が理事を務める財団法人「舞鶴文化教育財団」(高橋照理事長)が修復することが決まっている。

修復作業は、全体を風雨から守る鉄骨の上屋で覆った後、内部の修復・維持作業に取りかかる。来年3月までに上屋を建設する傍ら、窯の内部を一般公開する計画もあるという。
(略)

  • 青森で名勝の庭園を工事中

 津軽特有の庭造り流派があるんですね。冬で映える庭とかでしょうか。

黒石・金平成園、池の修復大詰め−北海道新聞[青森からこんにちは]
ソースURL: http://www.hokkaido-np.co.jp/news/aomori/418162.html
(11/09 11:26)
国名勝「金平成園」の池の底面に敷いた粘土質シートの上に砂利を敷き詰める作業員たち
 黒石市内町にある国名勝庭園「金平成園(かねひらなりえん)」の保存修復工事が、冬到来を目前に控え佳境を迎えている。本年度は庭園の池を中心に整備、池に水を引く井戸の掘削も完了。工事を進める市教育委員会などは、近く水漏れなどの有無を確かめるため、天候を見ながら池に水を張る方針だ。
 同園は津軽地方特有の作庭様式「大石武学流」の庭園として知られ、1902年完成。2006年に国名勝指定を受けた。同年度〜11年度まで第1期工事として建物部分を修復し、第2期工事は本年度〜14年度の予定で池や植栽、石橋などの構造物を整備する。
 同園では現在、市内の建設業者と造園業者が、池の底面に粘土質シートを敷き、護岸の石を粘土で突き固める作業を実施。7日は、作業員たちが、粘土質シートの上に砂利を敷く作業を行った。
(略)


【展示】

 奈良の財団法人元興寺文化財研究所の創立45周年記念の秋季特別展「文化財の保存・修復の半世紀」が開かれています。十一月18日まで。
http://www.gangoji.or.jp

 この元興寺には、空海の「お師匠さん」の墓があります。
 そんな話を、今年、ウェッジの「ひととき」で連載中の「アキツシマの夢」に書きました。

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