歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

7万年前の超大噴火の影響は予想より小さい?

 ネアンデルタール人など旧人は、だいたい15万年前から3万数千年前まで、我々のご先祖の人類「新人」ととともに生きていました。
 新人がアフリカを出て、全世界に拡散したのが約10万年前。
 
 そこで起きたのが、7万5000年前のインドネシアのトバ火山の大噴火でした。エベレスト2つ分の溶岩が噴出し、世界は氷河期になったとも言われて、アフリカを出たばかりのよちよち歩きの新人は絶滅寸前にまで追い込まれた・・・。
 
 そんな風に語られてきましたが、この超大噴火(スーパーボルケーノ)の気象への影響は意外に低かったという研究が11月5日付けの欧州の環境雑誌「Climate of the Past」に出されました。
南極のコアなどを調べたら、寒冷化どころか、むしろ温暖化した痕跡すら見つかったとか。

ちなみに日本人の研究者(国立極地研究所)も名を連ねています。
ナショナルジオグラフィックで内容が要約されていますが、そこに日本人はありません。残念ながら。

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古代の超巨大噴火、気候変動は軽微?
James Owen
for National Geographic News
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20121108002&expand#title
November 8, 2012
 およそ7万4000年前、インドネシアスマトラ島にあるトバ火山で超巨大噴火が発生した。過去200万年間で最大の火山噴火で、その規模は1980年にセントヘレンズ山で起きた大噴火の5000倍に達し、流れ出た溶岩の量はエベレスト山2つ分に相当するほどだったという。大気中に巻き上がった大量の火山灰やガスが日光を遮断して地球は寒冷化し、初期人類は大ダメージを受けた。

 この超巨大火山噴火の影響を計る上で、専門家からはさまざまな意見が出ている。例えば、「気候変動による氷河期は1000年続き、人類の総人口はおよそ1万人まで激減した」という研究がある一方、「現場に比較的近いインドであっても、噴火直後に人類が生き残っていた形跡がある」という結果も発表されている。

 南極とグリーンランドの氷床コアを分析した最新の研究によると、この時期、どちらの極地にも硫酸の雨の痕跡が確認されたが、気候への影響は従来の想定ほど壊滅的なものではなかったと判明した。

(略)

その後の南極でも気温低下の時期は存在するが、あくまで平凡なレベルだ。「おそらく10〜20年ほどの短い期間だろう。この程度であれば、有史以後にも、はるかに小規模の火山噴火で発生している」。

スベンソン氏は、寒冷期は1000年どころか100年も続かなかったと結論付けている。「人類は生き続けたし、すべては元に戻った」。

もちろん、場所によって事情は異なる。アフリカから出たばかりの先史時代の人類は、インドネシア からインド一帯で大きな被害を受けたと考えられる。

(略)

この山が超噴火する可能性はほとんどないそうです、ホッ。