歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

日本海側は実は、津波に要注意

日本海側は砂丘が発達しているので、その下に隠されて津波の痕跡が見つかりにくいのです。といっても、別に津波がなかったわけではありません。
砂丘があるから津波の防波堤になる、というのも早急で、太田猛彦『森林飽和国土の変貌を考える』(NHKブックス、2012)(←これは面白い本です)によれば、現在のような砂丘ができたのは、森林の伐採が本格化した歴史時代に入ってからということです。そして、今、自然保護や森林資材の価格低下により森が豊かになっていて、その結果、日本全国で砂丘を作るどころか砂浜すら減退しています。

森林飽和―国土の変貌を考える (NHKブックス No.1193)

森林飽和―国土の変貌を考える (NHKブックス No.1193)

今回、佐渡の加茂湖で見つかったように、海岸に近い湖沼で同じような調査をすれば、分かるので、日本海側にある「潟」で、きちんと国や行政が調査をするべきでしょうね。大学の地学の研究者がコツコツやっていたら、何十年かかるかわかりません。

けさ17日、新潟日報はじめ各紙が「9千年で26回の大津波佐渡に押し寄せた」との新潟大の判明を報道しています。

 佐渡市に過去9千年間で少なくとも26回の大津波が押し寄せた可能性があることが17日、新潟大災害・復興科学研究所の卜部(うらべ)厚志准教授(地質学)の堆積物調査で分かった。発生間隔は30〜790年と差があり、平均は350年。津波の高さは大半が5メートル以上と推定される。卜部准教授は「日本海の大津波は間隔に規則性がない。次はいつ起きるか分からない」と指摘している。

卜部准教授は「対岸の新潟市東京電力柏崎刈羽原発周辺にも津波が到達した可能性がある」とも述べており、沿岸の防災態勢などにも影響を与えそうだ。
新潟日報2012年10月17日

加茂湖はここ↓

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太平洋側でもこんなニュースが(中日新聞)

遠州灘海岸から約二キロ内陸の浜松市南区で、紀元前一九〇〇年ごろから約三千年の間に起きた津波の痕跡とみられる砂の堆積層が、産業技術総合研究所茨城県つくば市)などの掘削調査で見つかった。現場は国が八月に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定で最大二メートルの津波浸水域だが、調査では最近千年間の津波堆積物は確認されなかった。
 調査した産総研の藤原治主任研究員は「新しい時代の砂層ほど薄くなっている」と指摘。その理由を「調査地点は縄文時代には海に面していたが、平野が広がり内陸の低地になった。自然の堤防が広がって津波が届き難くなったと推定できる」と説明する。
 藤原研究員によると、今回掘削したのは、昭和四十年代までに埋め立てられたとされる旧高塚池の跡地。土地開発で湖沼などの適地が限られる中、市博物館に所蔵されている江戸時代の絵図から適地として選び、四月に地層を抜き取る専用の機材で深さ三〜六メートルまで掘り下げ、計十七本の試料を採取した。
 その結果、多い試料で四〜五枚の砂層を確認した。放射性炭素による年代測定法で紀元前一九〇〇年〜九世紀ごろまでに堆積したとみられ、どの砂層も上位ほど薄く粒が細かかった。
 堆積層の様子から、藤原研究員は「少なくともこの四千年間、極端に大きな津波が来たようには見えない」と話す。今後、海側でも同様の調査をして、裏付けを進める予定だ。
 津波堆積物の調査は産総研のほか静岡県が伊豆半島の海沿いで始めたが、浜松市では体系的な調査がなく、津波の浸水履歴は解明されていない。藤原研究員は「必要な津波対策を見極める指標になる」と各自治体での実施も提案している。
 調査結果は十八日、北海道函館市で開かれている日本地震学会秋季大会で発表される。

下の地図にある高塚駅の南側だそうです。

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