歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

お金の歴史をたどって未来を予想?

金貸しの日本史 (新潮新書)

金貸しの日本史 (新潮新書)

唐突ですが、お金は大事です。だから、お金の歴史を読み解くことも大切にちがいありません。
そのため、「お金」にまつわるテーマは、いずれチャレンジしたい著書のテーマのひとつでしたが、すでにこんな本がありました。先を越されましたか。(といってもすでに出版から4年経過していましたが)

本書をよめば、とにかく日本の歴史の中で、お金にまつわる「ありえない」話が満載なことに驚かされます。

 天武天皇の時代から賭博が禁止されるほど流行していた。
 760年、奈良時代では、流通している銭の半分が贋金だった。
 中世でも、賭博を禁止する法律が10回以上も武家に出されている。
 幕末には何がなんだかわからない幕府につけこんだアメリカが、金と銀の交換比率のギャップを利用して大もうけ。

世界史的に見れば、紀元前3000年のハムンラビ法典にお金の貸し借りがあったそうです。

本書の60ページには、こんなことも書いてあります。

戦乱が起きると、金貸しはまず消滅する。明日死ぬかもしれない人にお金を貸してしまえば、かえってくる保証はないからである。
(略)
つまり金貸しは、南北朝の時代と戦国時代、それから明治維新第二次世界大戦と四度にわたって生まれ変わっているのである。だから、金貸しの老舗というのは聞いたことがない。

いわゆる金貸し業者はいまでも多額の利益を得ているようです。そんなハイリターンの業種も、歴史に学べば、日本に「戦乱」がおきてしまうと、一気に壊滅してしまうのかもしれません。

もっとも、ほかの業種が生き残る保証があるわけでもないんですけどねぇ。