和本って、ご存じでしょうか。
どうやら、明治より以前の日本の古い本、という意味のようです。似た言葉に「古典籍」がありますが、これには「漢籍」とよばれる中国の本が含まれるようです。明治以前というのだから、巻子本という巻物も和本に含まれます。
今日、わたしたちが日本の昔にあったできごとを知ることができるのは、おおむねこうした和本が残っているからです。
その和本を扱う証人たちがいます。古本屋(古書店)です。
厳密には、古本業界には古書と古本とがあります。よく街中にある、主に戦後の現在の出版物を扱うのが古本、和本などの古典籍が古書ということになります。古本屋さんはこの二種類の本を扱っているわけです。大まかにいって、古本よりも古書のほうが販売価格に幅があります。たとえば、今から1300年以上前の奈良時代に印刷された百万塔陀羅尼というお経と木製の塔がありますが、これは世界一古書店の多い東京・神保町にいけば買うことも出来ます。最低100万円以上するようですが。
こうした古書業界の一団体、東京古典会が作成したDVD「和本」を見ました。市販できるようですが、amazonなどでは買えないみたいですが、以下のサイトから購入できます。
●販売:笠間書院のホームページ
http://kasamashoin.jp/2007/12/documentary_wahon.html
(参考)東京古典会のホームページ
http://www.kosho.ne.jp/~kotenkai/
およそ80分にわたり古書業界のインタビューが延々続くわけで、もうすこしメリハリの聞いた編集が欲しい!とも思いましたが、古書店の人たちがうれしそうに和本の魅力を語る、その姿に本への愛着を感じました。
東京・神田では毎週のように古書の市がひらかれているそうです。年に一度拓かれる「東京古典会」では、実物をさわってみることが出来ます。わたしも行ったことがありますが、豊臣秀吉や伊達政宗の書状や、平安時代のお経、近代の浮世絵などを手にとってさわることができます。
意外にも、日本の歴史を伝えた和本を今日までに価値をみとめ世に残した縁の下の力持ちが、こうした古本屋さんなのです。古本屋さんは、いわば仕入れの段階で適正な評価をして、購入者へ利幅を乗っけて販売し利益を得るわけですが、仕入れはなにも個人客からばかりではありません。業者間で得手不得手があり、仕入れた物を市場で仕入れることもあるのです。このような話を、うれしそうに古書店の店主がDVDで話をしています。
でも市の様子ってどんな仕組みなのでしょうか。DVDでわかりやすく紹介してほしいとも思いました。
このDVDでは紹介されていませんが、たとえば、市の時には札を入れるそうです。3枚札といって、3つの価格を入れることが出来る。Aが10万円、20万円、30万円、Bが5万円、10万円、15万円とそれぞれ3枚いれたとする。その場合、Aの20万円で落札されます。他と競合しない最も高い価格で落札されるわけです。
もう1つのやり方にセリがあります。発声して、一番最後まで高値で言った人に落ちる。この場合、まさしく競り合うことで高値につり上がるという難点もあります。
その意味では、入札のほうが合理的な、適正な価格がつきやすいともいえます。
以上のことは、なにもこのDVDで知ったわけではありませんが、こうした古書店の流通、内実を紹介した本というのはあるのでしょうか。『あの古本屋はどうやって儲かっているのか』みたいなタイトルで出したら売れないかしら?
数千円ぐらいから和本は買えるみたいです。東京の神田にでかけて、ひとまず1冊買ってみようかなぁ?この世に一冊しかない本って、オモロイかも。
関連書:古本屋さんの店主が出した本が売れているみたいです。続巻もでているし。
- 作者: 橋口侯之介
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2005/10/19
- メディア: 単行本
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