「紳士服のナゴヤ」が閉店セール商法で大儲けしたことで泥沼にはまりだした名古屋城の天守閣木造再建
人間はいつの時代もなりふりかまわないと、どんなに恥ずかしいとわかっていてもやってしまいがちです。
恥ずかしいけど、きっと効果があったんだろうと思われる商法に「紳士服チェーンの閉店セール」があります。
閉店するから、商品を投げ売りするよと消費者に誤認させて、お客を勧誘するものです。
「閉店セール商法」がまさかまさか、国の特別史跡名古屋城で行われたのです。
で、「最後の名古屋城天守閣」は、大いに感動と感謝のうずを巻き起こし、GWには開城3時間も前から並ぶ人がいるなど、大賑わい。前半の「4月28~30日の入場者は約5万人で、過去5年で最多」(中日新聞)、後半も「前年に比べて1・6倍」(読売新聞より)もの動員を果たして、ポケットがウハウハの名古屋市。
ところが、「閉店する」理由だった天守台石垣の調査について、市が文化庁へ許可申請をしていなかったことも判明しました。文化庁が申請を拒否した、ならわかりますよ。市が申請自体の準備をしていないんです。
ふつう「閉店セール商法」では、いちおう数日か1週間くらいは棚卸ししたり、商品の入れかえをしたり、店内の内装を変えたりしていたはずです。
しかし、名古屋市の場合は、そういうことをせずに、なんとただ閉めるだけ。(中の掃除くらいはしているかもしれませんね)
河村名古屋市長は「きちっとやっていけば間に合う」とスケジュールには問題ないと会見で強調していますが、その隣にいる市役所の担当者が「私どもの取りまとめ作業が手間取っている」(朝日新聞より)と答えています。もう、きちっとやってないでしょ。天守閣を閉めて不要になった警備員やお土産屋さんの売店の人たちを動員して、取りまとめ作業に集中するということでしょうかね?
この様子だと、しばらくすると、現天守閣の解体前にまたオープンすることになりそうですね。「閉店セール商法」のお約束のパターンです。
「新装開店」「お土産3割引セール」みたいなのぼりをたてるのかな。
今回の閉場で、感動していた人がたくさんいますけど、そのときはその人達は「紳士服のナゴヤ」に騙された!って怒るでしょうね。
市役所が安易な金儲けの手をとると、信用なくすの早いんじゃないですかね?くわばらくわばら。
以下は読売新聞から引用
名古屋市が木造復元に向けて7日から入場を禁止した名古屋城天守閣。大型連休中は「上り納め」で足を運んだ市民や観光客らで混雑し、最終日となった6日には戦後の復興のシンボルへの感謝として、ボランティアらが天守閣の周辺を清掃した。ただ、入場禁止の理由としてきた天守閣の地階(穴蔵)の石垣調査は、始まる見通しが立たないままだ。
市によると、大型連休(4月28日~5月6日)中の入場者は17万2301人で、前年同期の約1・6倍に上った。4日と5日は、それぞれ3万人以上が訪れたという。
6日には開門の3時間半前から待つ人を先頭に列ができた。午後6時過ぎ、入り口に鍵がかけられると、集まった人たちから拍手が起きた。
(略)
一方、市は入場禁止にする理由として、「復元事業に伴う調査及び工事」をホームページなどで告知してきた。入場禁止後には、コンクリート製の現天守閣が載る天守台の石垣(国の特別史跡)の一部である穴蔵の調査を行う予定だった。
しかし、名古屋城総合事務所によると、今年1月から始めた穴蔵の測量調査の結果の取りまとめに時間がかかっている。そのため、測量データなどを示し、穴蔵を調査する場所や方法について意見を聞くための、有識者会議「石垣部会」の開催日程も固まらない状況が続き、7日時点で穴蔵調査が始まる見込みは立っていないという。
市の調査計画がこのまま遅れると、今後、天守閣への入場を禁止にした時期や根拠が適切だったかが議論になる可能性もある。
以下は朝日新聞より引用
名古屋市は、名古屋城天守台石垣の詳細調査に必要な文化庁への現状変更許可の申請を、4月までにできなかったと明らかにした。7日に始まった現天守への入場禁止はこの調査をするためだが、許可がないため調査を始められない状況だ。
詳細調査は天守台の石を取り外す作業などがあり、観光客の入場を禁止する必要がある。市は当初、昨年11月の調査開始を予定していたが、5月への延期を昨年12月に発表していた。
ところが、調査開始はいまだに見通せない状況だ。文化庁への許可申請は、市の有識者会議・石垣部会に諮らなければならないが、目標としていた4月に開けなかったという。
1日の河村たかし市長の記者会見に同席した市の担当者は「どの石の調査をするか定めてから部会に諮る必要があるが、私どもの取りまとめ作業が手間取っている」と理由を説明。「早急に調査できるように調整している」と述べた。
詳細調査は、市が2022年末の完成を目指す天守木造化を前に、天守台石垣の現状を把握することが目的だ。河村氏は会見で「きちっとやっていけば間に合う」と述べ、「22年末完成」の工期に影響はないとの認識を示した。(関謙次)