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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

日本の元号の仕組みを網羅して解説している「専門書」が文庫しかないという件

敬意を持ってあえて「専門書」と呼ばせていただきますが、この本です。

 

日本の元号 (新人物往来社文庫)

日本の元号 (新人物往来社文庫)

 

 平成30年で、平成が終わって、平成31年(仮)1月1日から新しい元号になるそうです。

武将ジャパンさんから「元号についての記事を書いて」と言われまして

「歴史に携わるものなら誰でも知っている元号なのだから当然、色々な概説や研究の本があるだろう」

と安易に考えていましたが、これが意外と、というかほとんどないのです。

そこで、冒頭の文庫になります。

歴史と元号研究会なんて、よく文庫書き下ろしで編集プロダクションが企画を受けて、その本用の筆者として架空を研究会を立ち上げる、という現象は、みなさんもよく見ていると思います。

わたしもそんな思いで、たいした期待もせずに、

「うしろの参考文献だけでも参考にできればいいかな」

と舐めていましたが、

これ良本です!

文庫書き下ろし(Byなんとか研究会)を「よい本」とか言うのは、なんだかバカにされそうで怖いのですし、まだ冒頭の25ページしか読んでないのですが、

おもしろいんだもん!

例えば、元号が法的に定まったのっていつだと思います?

明治憲法?

戦前のなんちゃら法?

 

答えは、元号法。

びっくりなのがその成立された年。

なんと、昭和54年(1979年)6月12日の公布、即日施行!

わりと最近じゃないですか!

 

それ以前は旧皇室典範にもとづいていて、これは現在の皇室典範と違って法律ではなく、天皇家の家憲。極端な話、親父が決めちゃう我が家ルールだったんですね。

戦後になって、1946年(昭和21年)1月には、憲政の父とよばれる尾崎行雄が衆院議長に対して「もう元号やめましょう」と提案する意見書を出します。

それはありえるでしょう、戦後すぐですから。

では、それに変わる「元号的ななにか」へのアイデアがスゴい。

西暦一本とかでなく

「戦後」

ですよ。

よく新聞ででる戦後75年とかが、元号的に永久に使われることを求めたんだそうです。1946年が「戦後元年」だそうです。

おいおい、って今ならおもっちゃいますけどね。

元号とは言わずもがなですが、中国がオリジンです。

中国がやっていたものを日本をはじめ取り入れたのですが、今世界中で元号を使っているのは、日本とどこだと思いますか?

答えは、日本だけ

今回の「平成終了」で、もう次の元号はやめて西暦だけでいいんじゃないのという意見が散見されますが、それって、「ひらながやめてローマ字にしよう」と同じような文化と伝統の破壊になると思います。

 

ですので、わたしも、読んだ人が「元号のある日本っていいなぁ」と思ってもらえるような記事を書きたいと決意した次第です。

平成30年までには書き上げますので、首を長くしてお待ちください。

待てない人は、この本を買って読んでください。

 

日本の元号 (新人物往来社文庫)

日本の元号 (新人物往来社文庫)

 

 なお、この編プロさんは「ザ・ライトスタッフオフィス」で、主宰するのは河野浩一さんという方だそうです。

the-rightstuff.com

下にいくつか貼り付けましたが、ビジネスからスポーツまで様々なノンフィクションを手がけているようです。優秀な方なのでしょう。

歴史の専門でないからこそ、と思ったのは、

昭和の元号が決まるときに、毎日新聞(当時は東京日日新聞)が次の元号は「光文」と誤報するのですが、この本では、その逸話と合わせて、

なお毎日新聞は、1989年の昭和から平成への改元のおり、同年1月7日の夕刊3版で、他紙に先駆けて「平成」という新元号を掲載、雪辱を果たしている。(25ページ)

なんていう下りは、歴史研究家ではでない、ノンフィクションライターならではの発想だと感動しました。

このエントリーの冒頭の「なんで専門書がないのか」という疑問については、同じように理由がわかりました。古代から中世、近世、近代、現代まで網羅できる歴史家なんて存在しないからです。

末尾の参考資料は以下の通りでした。

『歴史読本』2008年1月号[特集 日本の年号](新人物往来社)

『国史大辞典』(吉川弘文館)

『日本国語大辞典』(小学館)

『大辞泉』(小学館)

『山川 日本史総合図録』(山川出版社)

『もういちど読む山川日本史』(山川出版社)

『詳説 日本史図録』(山川出版社)

 

これだけ! うーん、これらしか参考にしてないとすると、近現代編以降の歴史時代の話はあんまりおもしろくないのかもしれないですね。(この本は平成から大化へとさかのぼっていきます)

 

エンジン屋たちのDNA―ゴーン改革を支える日産・技師長大城義孝と技術者たちの挑戦

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