歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

もしもピアノがひけたなら歴史がすべて分かるはず〜【今週の歴史本書評まとめ】

 暑いですね。夏ばてで体調くずし気味です。みなさんもお気をつけて。またまた金曜日になってしまいましたが、今週(7月7日)の新聞書評からの歴史本まとめです。
 西田敏行さんの「もしもピアノがひけたなら」。阿久悠さんの作品だったんですね。

 というわけで、日経新聞には「ピアノの歴史」を紹介。ピアノそのものの歴史というより弾き手に焦点を当てたものです。

 イントロソングが終わったところで、今週の最注目は、読売新聞で万葉学者の上野誠さんが書評する2冊「出雲大社」「神の島 沖ノ島」。いずれも神社ものですよ、この人の書評はいつも、ゆるくて(すみません)おすすめな上に、神社ですからね、やったーという感じです。

パワー・スポットだからというだけである。たしかに軽薄な印象も受けるが、私は最近、それはそれでよいと思うようになった。つまり、大切なのは、場所なのだ。日本の神々は、その場に宿りたまうのであり、その場所に行くことが大切なのだ。

うーん。納得です。
私も「全国一の宮徹底ガイド」(PHP文庫)という本を書いてから、「パワースポット特集でかいてください」という依頼を結構受けたのですが、「神社や神話」なら喜んで尻尾をふって書いてきましたが、「パワースポットで」というのはことごとくお断りしてきたんですよね。
パワースポットとして神社を扱うのを否定はしないけど、自分はそれに加担したくないというか、なんというか。
でも、もういいかな。表面的な言葉ではなく、入り口として「神社」でも「パワースポット」でもいいじゃないか、と。この書評読んであらため思いました。
ありがとう上野さん、またおもしろい本紹介してくださいませ。

出雲大社』は、出雲大社の神主さん(神の末裔)と地元の考古学者が編者となった学術論考集。今読んでいる途中ですが、これで1900円(税抜き)とは安いですよ!

7世紀から続く祭祀の伝統と、それ以前の祭祀遺跡をわかりやす教えてくれる。

神祭りをするたびに、場所を選んで祭りごとを行った時代から、人びとは巨大な神殿を造ることに、熱中していく。なぜ出雲の人びとは巨大な神殿を造ることに熱中するようになったのか。よく分かる本だ。

もう1冊は、女人禁制の神の島(神様が女神さまだから)の写真集に、文章を直木賞作家が寄せたもの。

日本の神々は、最初、樹木や岩陰にひっそりと祀られていた。そういった神殿成立以前の神祭りのありようを現在に伝えるのが、福岡県宗像市沖ノ島だ。海の正倉院といわれる沖ノ島

読売では、作家の角田光代さんが『忘れられない日本人移民』を紹介。これ、たしか先週の日経でも取り上げていたかな?とにかく二冠目(『出雲大社』は毎日が新刊情報的に出していましたが、書評ではないので残念ながら1冠のみ)

先週、歴史本の大放出を行った毎日新聞の新刊情報では、『新訳 茶の湯』、『新版 親鸞から親鸞へ』くらい。書評はなし。

ダイエットの秘訣

 最後に歴史本ではないけど、朝日新聞で三浦しおんさんが「ヒトはなぜ太るのか?」を紹介。これ核心を得ていますね。
 もうダイエット本不要です。
 カロリーコントロールではなく、炭水化物と糖類をとらなければOK、というだけ。肉や油はいくらでも食べていいよ〜だそうです。これだけ分かれば、読まなくてもよさそう(苦笑)

先週分〜
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