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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

傷だらけの仁清!ニセモノ骨董品の造り方のぶっちゃけトークと「真正」とされた野々村仁清の茶器


  うどん県高松市香川県ミュージアムにあった茶器が、江戸時代前期の名工「野々村仁清(にんせい)」の最古級の作と判明したそうです。
 4月20日から特別展で公開します。

読売新聞より

 仁清といえば、石川県にある国宝のキジの焼き物が有名です。江戸時代のブランド品だったので、ニセモノもたくさん(初代がすごすぎて、2代目仁清はまがい物のレベルと称されたことも)

石川県美術館より

 この茶器「三島写水指」も、「仁清」とヘラ書きされていましたが、ふつう仁清は銘に判子をつかうことから、「うーん、ほんまかいな」と考えられてました。ところが、京都国立博物館京都市)との共同調査で初期の真作と分かったとのこと。

 今回の水指は高さ17・2センチ、口径16センチ。当時、茶器として流行した「三島」と呼ばれる朝鮮陶磁器をまね、斜線などシンプルな幾何学模様がつけてある。

 県が1995年に寄託を受け、ヘラのようなもので彫られた銘を確認。しかし、仁清は銘に判子を使うことが多く、きらびやかな色絵茶器とは趣も異なるため、同ミュージアムは2010年に展示した際も「作者不詳」としていた。

 共同調査は、特別展「いとうるわし。日本の美 京都国立博物館名品展」の開催が決まったのをきっかけに行われた。銘が彫られた同じ作風の陶片が御室窯跡で見つかったことや、ろくろをたくみに使って薄く仕上げている特徴から、真作と結論づけた。(読売新聞

ミュージアムでは、特別展「いとうるわし。日本の美 京都国立博物館名品展」の開催が決まったのを機に、同博物館と共同調査を実施。その結果、仁清が京都に開いた御室窯(おむろがま)の跡地周辺から同様にヘラ彫りで銘が刻まれた同じ作風の陶片が発見されている▽巧みなろくろびきによって極めて高い技術で薄く仕上げられている−−といった特徴から、真作と判断したという。(毎日新聞

 仁清は、もともとは単なる無名の作家。
 彼がいた工房「御室窯」(おむろがま)のプロデューサー(AKBに対するなんとかさんとか)が元藩主の息子という格の高い茶人の金森宗和さんでした。
 金森さんは、京都の仁和寺の近くに「御室窯」を開いて、いろいろ作らせました。その中で、仁清さんの作品が秀でていたので、だんだんと個人ブランドとして独立していったのです。(参考文献↓)

金森宗和 異風の武家茶人 (茶人叢書)

金森宗和 異風の武家茶人 (茶人叢書)

 上記の新聞記事では、仁清が窯を開いたとありますが、その前提が違うんじゃないのかなという印象です。

 また、木箱には「金森さんへ」と書いてあったのだとか。

 恵美嘉樹が気になったのは、この容れ物の箱のこの記述なんですよねぇ。出来すぎじゃないかと。


 同じ週(先週)にたまたま歴史家の磯田道史さんが週刊文春の連載「古文書ジャーナル」第19回で「ニセモノ骨董品の造り方」をかなり、ぶっちゃけで書いています。
 めちゃくちゃ面白い話ですが、(いいのか、これっ?)って心配すらしちゃいます笑
 相変わらず磯田道史さんはサービス満点です。

 「書画骨董に偽物が多いのは、どういうわけか」と、日ごろから思っている。誰かが偽物を作っているのだが、偽物を作る現場について記した古文書は少ない。ただ私のように長年、歴史学をやっていると、偽物を作ったことのある古美術業者がこっそり偽物の作り方を告白してくれることはある。

 その業者はもう亡くなってしまったからここに書けるが、父親の代のこととしてこう話した。

 「木彫りの仏像なんかはね。新しいのを買ってきてよく家の裏の沼に鎖をつけて沈めておきましたよ」

 何年かして沼から引き上げると古めかしい中世の木像にみえる。外貨が高かった頃それを外国人に売ったというのである。

 「先生などは知らないと思いますがね。紙の古文書だって古く見せる手はあるんですよ。コーヒーの粉をかけて汚す。よく火であぶって茶色にしたのがありますが、あれはすぐパレますね」

 私は絶句した。本物にコーヒーの粉をかけてしまう場合もあるというから本当に困ったものだと思った。

「今はもうやらないんでしょう?」
ときくと、

「明治大正の頃ほどではありませんがね。偽物作りは今もありますよ。電子レンジ。あいつを使いましてね。木箱なんか古くしちゃう

びっくりした。骨董品は箱が大切だが電子レンジで箱を古めかしくする方法があるという。

「でも木箱を虫が喰っているのがあるでしょう。あれなんかで古い箱は判別できるでしょう」

先生、あまいですよ。やろうと思えばシロアリを飼って木の板を喰わせることだってできる。そもそも何百年もたつた板や桐箱なんて、どこにでもありまずから」
たしかにそうである。「古文書を見るときは余程偽物に気をつけなくては」と思った。

お父さんの時代とかいっているけど、やっていたでしょ、この人!(笑)
これを読むと、箱書きであまりに都合のいい話がでてきたら、かえって怪しまないといけないと思ったところに、今回の「仁清」のニュースだったので、ちょちょいと後世のために(笑)エントリーしました。

無私の日本人

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