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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

「卑弥呼の墓」箸墓に調査が入ることで分かること、分からないこと。最古の「ネトウヨ」が見つかる可能性も #陵墓

 今回は前回エントリーの続きです。↓

箸墓古墳/Hashihaka Burial Mound - 無料写真検索fotoq
photo by tirol28

 2月20日には「卑弥呼の墓」説のある箸墓(奈良県桜井市)への考古学者らの立ち入り調査が行われます。

 「すわ、卑弥呼の遺骨の発見?」「邪馬台国論争に終止符?」と、一部でアツく過剰な期待が高まっていますが、はたしてどうなのでしょう。

 宮内庁が陵墓(天皇や皇后、皇族の墓とされている古墳)への立ち入り調査を認めたのは、2007年です。
 これまでも年に2、3の陵墓への立ち入りが行われています。

 「調査」というと、すぐに「発掘」を思い浮かべますが、この調査というのは「ただ歩くだけ。見るだけ」
 歩くのも、墳丘の一段目(一番下)までという制約があります。
 
 宮内庁が立ち入りを認めていなかったのは、そこが「ご先祖のお墓」だから。

 例えば、東京の青山霊園には、明治の元勲など有名人のお墓がたくさんあり、かくれた歴史マニアスポット(恵美嘉樹もそんな一人)ですが、お墓の一角には入っても墓石によじのぼったりはしませんよね。それが礼儀。

 古墳を発掘することは当たり前ですが、少なくとも子孫を名乗る人が「そこは私の先祖のお墓です。礼節をもってください」と言われたら、やっぱりそれに従うのが、日本人の心なんではないかなとも思っています。

 それはともかく、箸墓の調査というのも、ものすごい新発見があるかというと、そうした期待はかけないほうがいいです

 では、なにが分かるのでしょうか?

 昨年の陵墓調査では、日本最大の古墳「仁徳陵天皇(大山古墳)」と3位の「履中陵古墳(上石津ミサンザイ古墳)」への調査が行われています。

 これも「仁徳陵に調査!」と、決まったときは騒がれたのですが、結果については全然出てこないですよね、少なくともマスコミで大きく報道されたりはしていないと思います。

 なぜマスコミが結果を流さないかというと、この時の調査で分かったのが

 「江戸時代に大きく改変されたことが分かった」

 だけだったからです。(『歴史評論』2012年12月号)

 つまり、今見えている古墳の形(の一部)は、古代の天皇たちがみたそのままではなく、とくに本体を囲む堤は、幕末の「尊皇攘夷」の盛り上がりの中で発生した「陵墓ブーム」によって、立派なものへ改造されてしまっていたのです。

 このことは研究者からはかねてから言われていましたが、「やっぱりそうだった」という証明になりました。これじゃあ、マスコミには載りませんよね〜

 そして、肝心の箸墓ですが、これも江戸時代の「陵墓」運動のさいに、整備されている可能性大です。

 そうすると、今回の調査でも、邪馬台国卑弥呼などのロマンチックな謎解きではなく、「天皇家をあがめよう」という善意によってかえって古代の姿が破壊されたあとが見つかるのかもしれませんね。

 いってみれば、江戸時代にもネトウヨが存在した証拠です。
 

NHKの2月15日のHP

(略)
 事態が進んだのは平成19年。宮内庁は内規を改定し、発掘を伴わず外形を確認するだけなどという条件で、“研究者側からの要望に応じる形で”陵墓への立ち入りを認めたのです。

 その際、陵墓の1段目までは上がることも認められ、研究者が、陵墓を覆っているふき石や、落ちている埴輪の姿を間近で観察することも可能になりました。
こうしたなか、箸墓古墳でも初めての立ち入りが認められることになり、研究者の間では、新たな知見が得られるのではないかという期待が高まっています。

 日本考古学協会の理事で陵墓担当の森岡秀人さんは、「宮内庁との話し合いを一歩一歩前進させてきた成果。ようやくここまで来たかという思いだ」と話しています。


 一方、文化財の保護という点では課題も残されています。

 巨大な古墳である陵墓には、多くの場合、周濠があり、水が墳丘のすそを削ってしまいます。また、台風の際などに木が倒れて、そのまま修復が進まないケースもあるといいます。

 森岡さんは、箸墓古墳などの研究が進み、文化財としての価値が明らかになることで、陵墓の保護にもつながるのではないかと考えています。

 「陵墓は国民の共有の財産だとも言える。箸墓古墳などへの立ち入り、そして、その成果を研究者たちが広く公開することによって、文化遺産としての大切さを知ってもらうことが大切だ。そうした取り組みのなかから、陵墓を守ろうという機運も生まれてくるのではないか」(森岡さん)。

 天皇陵をめぐる問題が気になる人は、この本からスタートするのがいいです。↓

卑弥呼邪馬台国エントリー

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