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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

陸前高田の「奇跡の一本松」がふるさとに帰る。高田松原は人工林。350年前に植えられた1本目の松とは

 陸前高田市の「奇跡の一本松」(昨年5月に枯死)が保存処理を終えて、再び立ち上がる作業が始まっています。共同通信によると、きょう(2013年2月12日)から松の根の部分がふるさとに戻ったそうです。
 高田松原は、弓状に延びる1・8キロの砂浜の上にあるクロマツなどの松林です。国指定の名勝でした。

 実は、全国の松原と同様に、江戸時代に植栽された人工林です。

 高田松原は、いつ植栽したかもはっきりしています。
 高田村の菅野杢之助さんという人がリーダーとなって1666年(寛文六)に仙台藩の資金提供をもとに、事業を開始。翌年に6198本の松を植えたことが、延宝八年「願書」浄土寺文書という古文書に記録されています。
 
 今回の3・11クラスの大津波は、400年前の慶長16年(1611年)の慶長大津波と言われています。その50年後の造林ですので、おそらく津波の記憶もあり、必至にお金を集めて、植栽したのだと思います。

 その後、明治29年(1896年)の津波、昭和8年(1933年)の三陸津波、昭和35年のチリ地震津波などで、陸前高田以外の沿岸部では大きな津波が被害がありました。ところが、高田松原のおかげで、これらの津波のときに、高田は被害が比較的小さくてすみました。

 皮肉にも、この「経験不足」が沿岸部で最大級の人的な被害(公的な施設に避難した人たちが多数津波で死亡した)をもたらしましたが、ともかく陸前高田にとって、この一本松とは「本だけ残った。ミラクルだね」という単純な理由だけでなく、これまでご先祖を守ってきた大切な松林への感謝の思いを凝縮された1本でもあるわけです。
 

=復元イメージ図。[=title:陸前高田市のHPより]