歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

3・11の大震災で被災した宮城県の元遊郭が解体の危機で募金募集【目標1000万】

 東日本大震災で被災した宮城県塩釜市にある幕末ごろに建てられた元遊郭の建物が、解体の危機となっていて、文化財保存の地元団体が募金を集めています。
 河北新報のきょう(2013年1月13日)の報道によると、津波で一部が浸水し、現在はお茶さん「松亀園」(旧えびや旅館)ですが、そこも2012年11月で閉店したために、解体されることになりました。
 しかし、歴史的な価値が高いことが、東北工業大の高橋恒夫教授(日本建築史)の研究でわかり、じもとのNPO「みなとしほがま」が保存に向けて乗り出しました。
 震災を辛くもくぐり抜けたふるさとの誇りが、ひとつでも残ることを願っています。


 建物は江戸末期から明治初期に建てられた木造3階建て。内部は昭和初期まで旅館・遊郭として使われた当時の意匠をとどめる。長押(なげし)に貝殻細工など港町らしいデザインが見られるほか、一面に満開の桜の花が描かれた天井も残る。
(略)
 高橋教授は「明治初期の木造3階建ては塩釜では他になく、県内唯一の遊郭建築として残していくべきだ。床組みもしっかりして耐久性もある。御釜神社の真向かいにあり、塩釜の歴史を物語る遺産となり得る」とその価値を語る。
 同法人では、1000万円を当面の目標に募金活動を展開。今月中にも解体の中止と保存活用に向けての方針を決めたいとしている。

関連記事