地震の「予知」に歴史学、地質学など「文系」の研究を国が取り入れていく第一歩
今回はクイズから一転、硬派ネタです。
きのう(2012年12月28日)、文部科学省の審議会である
「科学技術・学術審議会 測地学分科会地震火山部会 次期研究計画検討委員会」
の1回目の会合が開かれました。
「じゅげむじゅげむ」みたいな長〜い名前ですが、歴史界だけでなく、ひろく日本人にとって、とても重要な会です。
この地震火山部会では、東日本大震災を受けて、すでに10月に、火山、地震予知=未来予想について、ある意味で白旗をあげています。(ちゃんと「負け」を認めているのは立派です)
一般的に,「いつ(時期)」,「どこで(場所)」,「どの程度の大きさ(規模)」の地震が起こるかを地震発生前に予測することは,現在の科学技術の水準では困難であることを改めて認識した。
(分科会での配布資料「地震及び火山噴火予知のための観測研究の推進の基本的な考え」より)
では、なにが足りなかったかというと、
変動地形学的,古地震学的,地質学的手法を用いた超巨大地震の発生履歴に関する研究成果を取り入れる努力が不足していた。
古文書などに残っている地震の詳細な記録は,そのほとんどが江戸時代以降のため,東北地方太平洋沖地震のように発生間隔の非常に長い地震の場合,情報の欠落などにより,精度の高い情報を得ることは困難であった。
また,津波堆積物や地質調査による地震発生履歴調査については,異なった場所での年代測定の結果に系統的な差異があることもあり,信頼性の高いデータを得ることはなかなか容易ではない。
そのため,精度の高い近代的な観測データと,信頼性の評価が困難なこれらの調査結果を併合して,超巨大地震の発生可能性を評価する取組が不足していた。
そのため、今まで国(これまでの予知は理系の地震学が主流)としてほぼ無視してきた、地質学・歴史学・考古学という「文学部系」の学問の成果を積極的に取り入れていこうということになったのです。
NHKによると、東大史料編纂所の教授が委員になるそうです。
名前は書いていないけど、たぶん編纂所で地震と火山の歴史を一生懸命研究されているのは、保立道久さんなので、きっとそうかなと想像しています。
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