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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

真珠湾攻撃の1か月後に、山本五十六が料亭の女将へ送った手紙に「東京大空襲に備えろ」

近現代


 太平洋戦争の「えっ」という内容が書簡が明らかになりました。(文芸春秋2013年1月号、180、181頁)

文藝春秋 2013年 01月号 [雑誌]

文藝春秋 2013年 01月号 [雑誌]

 山本五十六が通い詰めていた料亭「和光」の女将に、真珠湾攻撃からわずか1か月後、東京への空襲の可能性と、それに備えることを暴露しているのです。

いまに東京に爆弾の雨、が降ると、もしやおしまいでしょう。そうなるとさすがの和光も落ち着いて商売もできなくなりますから、その時はその時になどという呑気でなく、考えておくことですね。(こんなことを人に言っては困るが)。

続いて、料亭に来る大蔵省の官僚へ「飛行機をつくる予算をつけるように頼んでおいて」という依頼までしています。

開戦前から「負ける」と対米戦に反対していた山本五十六ですから、そうしたことを「考えていた」ことは間違いありませんが、あまりにも「軽い口調で」、帝都空襲という国家の秘密ややりとりを暴露、依頼を一民間人にしているのは、ちょっと驚きです。

これは元軍人や遺族は怒るかもしれませんね。


まあ、冷静に考えれば、軍人というのは、「戦え」という命令を受けたら、戦うのが仕事。
勝算がなかろうとも、「戦争」というスイッチを押すのは民主国家においては、職業軍人ではなく、政治家なんですよね。
で、戦前も、今と若干形は違いますが民主国家でした。


それでも、大いに誤解され、たぶん批判を受けるであろう史料をいま公開したのは、現・女将(ここに出てくる女将の娘さん)の歴史への責任感だと思います。

ですので、以下の一文も引用します。これで批判が収まるとも思いませんが。

 中には「料亭の女将などに、こんな大事なことを話していたのか」と思われる方が、いらっしゃるかもしれません。けれど、どうかわかって頂きたいのです。「この人なら何を言っても大丈夫」、それだけの信頼を五十六さんは母に寄せてくださったのではないでしょうか。


きっと年をとられて、きちんと将来の日本のために伝えておかないといけないと考えられたのではないでしょうか。その勇気に、恵美嘉樹はすなおに拍手を送りたいです。

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