歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

NHKが維新の会へ宣戦布告!堺屋太一の安土城復元を完全否定!歴史秘話ヒストリアが華麗に転覆

あおりタイトルです、ハイ
昨晩14日のNHK歴史秘話ヒストリア

「魔王が棲(す)む魅惑の城〜最新研究!織田信長 美しき城づくり〜」事前の告知では「引っ越し大好き信長」というテーマでしたが、ずいぶんドラマチックになりましたね。

歴史秘話ヒストリアというのは、ぶっちゃけ言いますと、知的リトマス試験紙みたいなものです。
恵美も歴史作家を名乗っている以上、最新の歴史学のことを知っていないといけません。
でも、人類誕生から近代史までカバーするのは、なかなか大変なんです。


一番、重要なのは「自分がどの分野が弱いか」を自分が把握しているかどうか。
意外に分からないものです。


そこで役立つのが歴史秘話ヒストリアをはじめとするNHKの歴史番組です。

「へぇ」「そうなんだ」「面白いねぇ」「ふーん」

で終わったら、赤信号。その分野の学問の進展状況をよく知らないことになります。

逆に、ある程度、自信がある分野なら

「なんでやねん」「どうしてそこに・・・」「ムリやろ、それ」「!! (/ω\) ハジュカシィー・・・(TVでコメントした先生もびっくりして恥ずかしい思いしているんだろうなあ」

とか、はたからみるとイヤ〜な感じでいられると、「OK」となります。

特に戦国時代のお話でのヒストリアは、たいてい、新橋のガード下のおじちゃんのような心境で見ることになるのですが、今回はびっくりしましたね。

かつて1992年に、堺屋太一氏がプロデュースしたスペインのセビリア万博に、日本政府の公認として持っていった「なんちゃって安土城天守閣」ですが、なんちゃってにもかかわらず、ながらく政府公認ゆえに「正しい安土城」と思われてきました。
復元安土城 (講談社学術文庫)

その流れで、安土城の山のてっぺんに天皇のための「清涼殿」が作られた!なんていうトンでも本もビックリな話が公式見解として出されたりしています。


清涼殿のおかしいのは上の図(概念図)で説明できます。

黒い穴が建物の柱の跡です。
普通は赤い線のように囲みます。

ところが、青い線のように引くこともできないことはありません。でもなにか根拠がないといけません。
安土城は、本当は赤い線のように「普通に」線を引いて、普通の建物であるとするべきなのに、
無理やり清涼殿にしたいがために、青い線のような強引な解釈をしているのです。

もちろん「そりゃないだろう」と批判もあるのですが、なにせ国家公認の流れなので、NHKにはこの真っ当な批判が反映されることはないだろうなぁと思っていました。

だが、しかし、昨晩! くしくも野田総理が解散を表明したその日に、事件は起きたのです。

参考文献が内藤晶氏や堺屋太一氏ではなく、彼らの説を徹底的に反論している奈良大の千田嘉博教授、広島大の三浦正幸教授の名前がずらり!

『織豊系城郭の形成』(千田嘉博 東京大学出版会

織豊系城郭の形成

織豊系城郭の形成

『よみがえる真説安土城』(監修 三浦正幸 学研)


やるじゃんNHK

「へぇ」「そうなんだ」「面白いねぇ」「ふーん」で終わるかと思われたそのとき

つっこみどころキターーーーーーーツ

=日本財団ブログより

この喫水線の下はめちゃくちゃ浅くて、上には「お城」のようなばかに高い船。風速1メートルで転覆すること必至。
言っておきますが、琵琶湖も波ありますよ。


なお信長公記(恵美訳)では、以下のようになっています。

1573年(元亀4年)5月22日、信長は佐和山へ移り、周辺の山から材木を切り、大工の棟梁岡部又右衛門(テレビに出ていた人)に、長さ30間(約50メートル)、幅7間(約13メートル)、櫓が100個ついた船をつくらせました。7月3日に完成しました。この大船に、みんなびっくりすること、びっくりすること。

さらにこの巨大戦艦は琵琶湖を縦横無尽に、湖面から鉄砲を一斉射撃して岸側にいる敵兵をばったばったとなぎ倒して行くではありませんか!ゲラゲラ

この船、どうやら戦艦大和クラスの射程を持っているようです。
微風でひっくり返ることがなければこの大船によって天下統一はきっとなされたでしょう!!!ドン

小牧山城岐阜城安土城とたしかに「最新」の研究を取り入れた、NHKとしては画期的な番組でした。
しかし、やっぱりNHKNHK。ちゃんと最後のギャグパートを入れてくれる配慮を忘れませんでした。

やっぱり、恵美嘉樹は、皮肉屋なまま見おわりましたとさ。
歴史秘話ヒストリアのエンディングテーマ↓


下のボタンをクリックお願いします!励みになります。

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村


PVランキング

更新情報のRSS(ページのヘッダーにもあります)をぜひ登録してください。
http://d.hatena.ne.jp/emiyosiki/rss