歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

奈良時代の天皇の筆は腕前は?

 奈良時代天平3年(731)に聖武天皇が書かれたご宸筆(しんぴつ、真筆)「聖武天皇宸翰雑集」(正倉院宝物)が13日から、京都国立博物館で開催中の特別展『宸翰(しんかん) 天皇の書』で、ほかの正倉院宝物の真筆とともに出展されます。25日閉会。

「雑集」とは、国家珍宝帳にも記載された聖武天皇ゆかりの宝物です。31歳の聖武天皇が中国の詩から選び出び、みずからの筆で書写されたものです。天皇31歳の宸筆。 

写真・図は宮内庁正倉院事務所のHPの画面をPCでキャプチャー(以下おなじ)。HPからはたくさんの真筆の接写写真を巻頭から全部見ることができます。とても親切です。

一緒に、この期間だけ登場する「沙金桂心請文」(しゃきんけいしんしょうもん)は、天平勝宝9年(757年)に、東大寺を造営する役人が、正倉院にある造東大寺司が正倉院に納められている砂金(沙金)を出したいのでお許しを求めた文書で、そこに大きく孝謙天皇が「宜」(=OK。許す)と書いています。


これは二枚組で、もう一つは「桂心」のほうの請文です。
桂心とは、ケイヒ、もっと一般的に言うとシナモンです。日本には自生しない東南アジアなどの漢方薬です。シナモンはなにに効くのか恵美は知りませんが、まぁきっと救心みたいなもの?(すみません、無責任で)
ともかく、天平宝字3年(759)に、この漢方薬を使わせてくださいというお願いをした文書で、これにも「OK」と孝謙天皇の次ぎの淳仁天皇がサインされています。

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こうして聖武天皇孝謙淳仁天皇の筆を見比べると、前者はうまい。後者はうーん、微妙。
でもその理由は個人の腕の差というより、ちゃんと書いて残そうとしたものは丁寧に、実務のものは適当に、と使い分けていたんでしょうね。

見比べて安心した字の汚い恵美嘉樹でした。

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