足利尊氏の遺髪?仏像のなかに包み紙
大津市歴史博物館が9日、日本有数の古寺である三井寺(園城寺(おんじょうじ))にある室町時代前期の木造の地蔵菩薩の中に、室町幕府を開いた足利尊氏、もしくは2代将軍の足利義詮(よしあきら)の遺髪を包んだ「らしい」包み紙を発見したと発表しました。
新聞各紙の報道によると、三井寺には、足利家につかえた仏像造りの一団「院派」が作った3体の地蔵菩薩があり、その1体(高さ42センチ)の首の付け根の空洞をX線で撮影したところ、見つかったとのことです。
園城寺文書には、2代の義詮が38歳の若さで死んだ翌年の1368年の文書があり、父・尊氏の先例にならって地蔵菩薩に髪を入れて寺に納めたとの記述があり、それを裏付ける発見になります。
歴史博物館で13日から25日まで、この木造地蔵菩薩坐像を展示するそうです。
三井寺は天台宗ですが、琵琶湖の三井寺に対して、山の延暦寺(これももちろん天台宗)は昔からライバル同士で、どんぱちまでして、伽藍が炎上すること数知れず、園城寺文書は意外に残りが少ないのです。たしか90点程度。もちろん国宝です。
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以下、各紙のコメント集
京都新聞
撮影に協力した東京文化財研究所の津田徹英文化形成室長(日本彫刻史)は「破壊せずに納入品が見つかった意義は大きいが、髪は細い線でも写るはずなので、髪があるかは慎重に判断しなければならない」としている。
読売新聞
同博物館の寺島典人学芸員(43)は「伝承が裏付けられた格好で感動した。解体修理の時期が来れば中を視認することもできるが、それは何十年以上も先のことになる」と話す。NHK
調査にあたった寺島典人学芸員は、「三井寺と足利家のゆかりの深さがよく分かる、非常に珍しい発見だと思う」と話しています。共同通信
同館の寺島典人学芸員は「将軍の遺髪であれば、極めて珍しい。足利家の地蔵信仰を裏付ける重要な資料だ」としている。
写真は、共同通信HPよりキャプション「木造地蔵菩薩坐像頭部のエックス線写真。耳の後ろ周辺の薄い影が包みと思われる(大津市歴史博物館提供)=共同」
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