歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

大絶滅の原因は猛烈な残暑

 地球は、生物が住む楽園、であり続けたわけではありません。
 長い地球の歴史上、何回もの生物の大絶滅が起きています。最も有名なのは恐竜の絶滅です。この理由は、今ではほぼ巨大隕石の衝突が主因とされています。

 ただ、地球史上最悪、最長の絶命期だったのは、ペルム紀(約2億8900万年前から約2億4700万年前)の終わりと言われています。だいたい2億5000万前頃のことで、500万年もの間、生物たちはほとんど棲息できませんでした。(ちなみにペルムとはウラル山脈の西麓にある地名です)
 
 その理由について、「猛暑」という説がサイエンスに発表された、とナショナルジオグラフィックが発表(笑)しました。

 ただ、ペルム紀の約4000万年間自体も、生物にとって非常に暑い砂漠時代でした。ということは、「残暑」だったということですね。
 なぜ暑かったかというと、それまで二つに分かれていた大陸の間にあった巨大な海が隆起して、一つの超大陸パンゲア

パンゲア大陸とは編集

になってしまったのです。つまり海一つ、大陸一つです。これで海流の流れが途絶えて、大陸の内陸部は海からの湿気のある空気が流れてこなくなり、砂漠化していったのです。
 ともかくペルム紀によって、古生代がおわり、次の中生代、つまり恐竜の時代に入ります。

恐竜絶滅

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以下、ナショナルジオグラフィックから引用です。

 ペルム紀二畳紀)末から三畳紀初期にかけて生物が死に絶え、地球がほぼ不毛の地と化した大きな原因は、地球が文字通り“死ぬほど”暑かったからだとする最新研究が発表された。

 今から2億5200万〜2億4700万年前、地球はペルム紀末の大量絶滅と呼ばれる出来事に見舞われた。これによって、陸上植物を含む地球の生物のほとんどが姿を消した。その結果、地球の温度は上がり、生き残った赤道付近の生物たちも死に瀕した。

 植物は地球の温度を上げる二酸化炭素を吸収する。そのため、植物が死滅すると、地球は「暴走する温室」と化して「コントロールがきかなくなり」始めたと、研究共著者でイギリス、リーズ大学の古生物学者であるポール・ウィグナル(Paul Wignall)氏は言う。

 殻の硬い巻貝や二枚貝など、ペルム紀の大量絶滅を生き延びたわずかな生物もこの猛烈な暑さによって命を落とし、以来、地球は500万年の間ほぼ「死の世界」になったとウィグナル氏は述べる。

◆回復遅れの謎が解ける

ウィグナル氏らの研究チームは、中国南部の浅い海から採取した小さな化石を調べた。そこは当時、赤道上に位置していたところだ。

当時の海水温を知る「信頼性の高い」手がかりとなる化石の酸素同位体を調べたところ、ペルム紀直後(三畳紀初期)には海面温度が摂氏40度に達していたことが明らかになった。研究チームが致死的な暑さと評する高温だ。同じ領域における現在の平均温度は摂氏25〜30度だ。

この高温が、長らく研究者たちを悩ませてきた謎を解くカギかもしれない。地球は他の大量絶滅からは数十万年で回復したにもかかわらず、なぜペルム紀の大量絶滅では回復に500万年も要したのか、という謎だ。どうやら、単純に暑すぎたせいらしい。

◆最悪の世界

同じことは再び起こるだろうか? 「理論的には起こりうる」とウィグナル氏は言う。

NASAゴダード宇宙科学研究所によると、地球の平均気温は、1880年から摂氏約0.8度上昇した。そのうち3分の2は、1975年以降に上昇した分だ。

しかし、現在の温暖化傾向をもってしても「当時の深刻な状態に到達するにはまだまだ遠い」とウィグナル氏は述べる。というのも、そうなるにはまず地球の植物の大半が死滅しなければならないが、現在のモデルではまず起こらないシナリオだからだ。それでも、今回の研究結果は「世界がどれだけひどい状態になりうるか」を地質学的なタイムスケールで示していると同氏は語った。

今回の研究は10月19日付で「Science」誌オンライン版に発表された。