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歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

5万年分の「ものさし」発見!今年最大の歴史ニュース

旧石器 世界史


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今年最大の歴史ニュースではないでしょうか?

福井県三方五湖で、年輪のように毎年積み重なってきた堆積物が5万年分の「物差し」となりました。
炭素14年代測定で使える基準がこれまでの1万数千年から一気に5万年にまで伸びたのです。
名古屋大などがサイエンスに発表しました。


なぜ、平安京遷都が794年だったのかが分かるのかというと、坊さんが泣くよだからではなく、紙に記録してあるからです。
日本では、このように歴史が書かれたのはたいてい奈良時代から(古事記日本書紀など)、早く見ても飛鳥時代
さらに言えば日本書紀に書かれているのは、ビッグイベントのみで、日本全国を網羅しているわけではありません。

で、古墳時代以前(弥生、縄文時代とか旧石器時代)の時期をどうやって分かるのかというと、土器などについた炭(炭素)を、測定して、その土器の年代を「およそ○年前です」と特定するのが、C(炭素)14年代測定法です。

 放射性炭素年代測定(ほうしゃせいたんそねんだいそくてい; radiocarbon dating)は、自然の生物圏内において放射性同位体である炭素14(14C)の存在比率が1兆個につき1個のレベルで一定に保たれていることを基礎とする年代測定である[1]。
宇宙線に含まれる陽子は高いエネルギーを持ち、太陽系外、場合によっては銀河系外から飛来して大気圏上層で核衝突を起こし、その一部の衝突から中性子が放出されて、これが窒素原子核と衝突することで、炭素14という放射性同位体を年間7.5キログラム生成する[2]。自然の生物圏内では炭素14の存在比率が一定であり、動植物の内部における炭素14の存在比率は、死ぬまで変わらないが、死後は新しい炭素が補給されなくなるため、存在比率が下がり始める[1]。この性質と炭素14半減期が5700年であることから年代測定が可能となる[1]。なお、炭素14の生成量は地球磁場や太陽活動の変動の影響を受けるため、大気中の濃度は年毎に変化している。
C14年代測定(シーじゅうよんねんだいそくてい、シーフォーティーンねんだいそくてい)に同じ。単に炭素年代測定、炭素14法、C14法などともいう。
 wikipediaより

 ただ、炭素をはかっても、「○▽$※年」とかいう数値が出るのですが、それをそのまま使うことはできず、本当に「2000年前」とはっきり分かっている樹齢2000年以上の木材の年輪と比較してきたわけです。
 で、そのものさしが世界的には1万5000年前くらいまではありました。
 日本史的に見ると、縄文時代のはじめです。
 ですから、すでに(色々異論もありますが)縄文時代は氷河期末期の1万5000年頃にスタート。弥生時代のはじまりは、大ニュースになりましたが、それまでより500年も古くなって紀元前10世紀くらいにスタート、となっています。
 では、今回、5万年前まで指標がぐんと伸びることで、なにが分かるのでしょうか。
 ずばり、「初めての日本人」です。
 旧石器遺跡捏造事件以降、今のところ、初めて人間が日本列島(北海道をのぞく)に足を踏み入れたのは、4万年前ごろと見られているからです。
 旧石器時代は「石」しか物証がないので、なかなかうまく有機物を検出できないでしょうけども、「日本人」の歴史をカバーできるものさしができたことは大きいです。
 世界史的にも、4万年前というのは、アフリカから出た現世人類が世界中に広がった時期なので、ものすごく重要なのです。
 ノーベルなんとか賞をあげたいですね。

 最新のC14年代測定については、この本『縄文はいつから』が詳しいです。

縄文はいつから!?―地球環境の変動と縄文文化 (歴博フォーラム)

縄文はいつから!?―地球環境の変動と縄文文化 (歴博フォーラム)

水月湖の堆積物の地層についての概略はここがくわしいです。(関西電力のHP)
http://www1.kepco.co.jp/wakasa/tanpou/tanpou/13.html

サイエンスのサマリー英文

The annually formed layers of sediment from Lake Suigetsu have the potential to reveal information about environmental change in Japan over the past ∼50,000 years with chronological precision as good as, or better than, the Greenland ice cores (1). Such precision is invaluable for synchronizing records and evaluating leads and lags in the global climate system. Perhaps even more important, the fragile leaves and seeds hidden within these layers (see the figure) provide a record of past atmospheric concentration of 14C, the radioactive isotope of carbon. As reported by Bronk Ramsey et al. on page 370 of this issue (2), this record stretches back over the full length of the radiocarbon age scale. The results are invaluable for improving the accuracy with which radiocarbon dates can be converted to the calendar time scale.

以下、興奮ぎみの福井新聞

 ラムサール条約に登録されている三方五湖の一つ水月湖福井県若狭町)の湖底堆積物からデータ収集をしている中川毅・英ニューカッスル大教授ら日欧の研究グループは18日、化石など古い物体の年代測定が数百年単位で精密にできるようになったと発表した。5万2800年前までさかのぼることができ、世界のどこで採取された化石でも精密な年代を測定し、過去の気候変動も調べることが可能な“物差し”が出来上がったとしている。

水月湖でのボーリング調査に参加している中川教授らが文部科学省で発表。米科学雑誌サイエンスにも10月19日号で発表した。

水月湖の湖底の堆積物には、プランクトンの死骸や土が季節ごとに積もり、年輪の一種「年縞(ねんこう)」が形成されていることが1991年に確認されている。93年、2006年の学術ボーリング調査の結果、年縞の保存状態は良く、過去5万2800年分の記録が得られている。

さらに湖周辺の樹木から落ちた葉が化石となって大量に含まれているという。葉の化石に含まれる炭素のデータと年縞を組み合わせて照合すると約170年の誤差で年代が測定できるという。170年というのは地質学的にはわずかといえる。

これにより、世界のどこで採取された化石でも、その中に含まれる炭素を測定し、水月湖の物差しに当てはめると、その化石の年代が判明するという。

中川教授は、水月湖に保存状態の良い年縞ができた理由として、直接流れ込む川がなく大水で混ざることがなかったことを挙げた。また、周囲が山に囲まれているため強風で大波が立たず、湖底に酸素が行き届かなかったことから、生物がすまずに砂をかき回すことがなかった点も指摘。「良い条件がそろっていた。水月湖が地質学的に過去5万年の標準時になる」と述べた。

 三方五湖福井県若狭町)の場所


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