古代の市役所をめぐる【マニア度満点だね】
- 作者: 条理制古代都市研究会
- 出版社/メーカー: 雄山閣
- 発売日: 2009/03
- メディア: 大型本
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わたしは市役所マニアではありません。
日本の古代には、日本全国を68の国にわけて、さらにその下には郡とよばれる行政区画がありました。
国は現在の県に、郡は市町村に相当します。
国には県庁にあたる国府がおかれ、中央から派遣された役人が地方行政を行いました。
郡には郡衙とよばれる役所がおかれました。市役所ですね。
役人の郡司(市長)は、原則として現地採用でした。
本書は、ようするに「全国市役所を掘ってみた」という本です。
マニア度は満点ですが、日本古代史好きにはたまりません。
この本を勝手に売り込んでみましょう。
まず、これまで個別遺跡の本はありましたが、全国を網羅した本はなく、
一覧するのに大変不便でした。ようするに、類書がなかったのです。
また、郡衙というのは地方です。
木簡が多数出土している現在とはいえ、やはり史料の残り方は中央に偏っています。
そうした現状のなか、地方行政を知るためには郡衙の遺構は大変貴重です。
郡衙の場所は全国すべて確定しているわけではありません。
郡衙が特定されれば、郡衙と郡衙をむすべばそこには必ず古代の道があるはずです。
また郡衙の立地には必ず意味があるはず。
地方の有力者の権力基盤として築造した古墳との関係もきになります。
この本をたずさえれば、全国津々浦々の郡衙遺跡をまわり、古代にはここにあんなやつがいたのかぁ、みたいな「妄想」がふくらむわけです。
超専門書のため、値段が高い!(12600円)のが残念ですが、それだけ情報としても貴重ともいえます。
今後発掘でいろいろと事例は増えていくのは間違いありません。
ぜひ改訂版を出し続けてもらいたいですね。