篤姫の駕籠が昨年、アメリカのスミソニアン協会で見つかったニュースは、NHK大河ドラマ篤姫のブームに合わせたこともあって話題となった。
その駕籠を「発見」した江戸東京博物館の斎藤慎一氏が(その経緯がないのは残念)、篤姫の駕籠と、江戸博が持つ篤姫の義理の母、本寿院の駕籠との比較をした内容の記事を寄稿している。(2009/01/16 読売新聞歴史コーナー)
どちらも格としては最も高い黒漆に金蒔絵なのだが、二つの駕籠の細部に微妙な差があるという。
篤姫>本寿院なのだが、その理由は、
「つまり将軍の正室と側室という差である。」
とする。
庶民はドラマとちがって彼女たちの生身をみることはなかった。それだけに
「この時、乗物こそがその人物の表現となっていたのではなかろうか。そして乗物は自ら権威を誇示するツールとなっていたことは間違いなかろう。」
となるわけだ。
正室の篤姫の駕籠には、徳川家の葵の紋が描かれているが、側室のそれにはないのだそうだ。
正室と側室の間には果てしない高い壁が横たわっていたわけだ。ただ、遠くから漆黒と金に輝く駕籠を遠望するしかない庶民には、その差を知ることはなかっただろう。
江戸博では、2月1日までの「珠玉の輿」展でこの二つの駕籠が展示されているそう。
ちなみに斎藤氏には『戦国時代の終焉』
(中公新書)という、あまり知られていない関東での戦国末期の戦いを現場ルポなどもふまえて描いた好著があります。
戦国時代の終焉 - 「北条の夢」と秀吉の天下統一 (中公新書(1809))
- 作者: 齋藤慎一
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