読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

歴史に残る「進化論」となるでしょうか?

私たちが書く本の大きな目標に、「本を読んだ人が行動に移す」があります。
ちょうど1年前、2007年10月に出た全国「一の宮」徹底ガイド (PHP文庫)(PHP文庫)は、一の宮と分類される全国にある神社のひとつでも読者が行ってみようかと思わせるために書きました。

無名の著者による持ち込み企画が通ったのには、こうした「行動に結びつく本」という最近の出版界での傾向があったからではと思っています。
その代表的な著者が勝間和代さんです。

今日本で一番出世した女性と言えば、小渕優子少子化担当大臣ですが、一番活躍している女性と言えば、勝間さんではないでしょうか。小渕大臣は言わずもがなですが、父親の名前と実績にフリーライド(ただ乗り)しただけですが、同じく母である勝間さんは実力で今の地位と人気を手にしたのですから素直に尊敬に値します。というか、尊敬しています。(そういう意味では、評判はいまいちですが同じく母親かつ実力で大臣となった猪口邦子はえらい)

勝間さんの最新刊『読書進化論』(小学館101新書)は、歴史書ではありません。
ただ、10月28日に私たちの第二作目『図説最新日本古代史』が発売されるタイミングに合わせるように出版されたので、記録と記憶のために載せておきます。

というのも、勝間さんは毎回、サービス旺盛で、自分の使う知識のツールや秘訣を惜しげもなく公開しているので人気なわけですが、今回は「これ一般の読者に受けるの?」と疑問を抱きつつも、私たちのような著者に対しては信じられないくらい本の書き方、そして売り方を公開しているのです。
「10日間で20冊売れました」(P43)、「また見た、また見た、また見た、と3回くらい見たら「あっ、この本おかしい」(P197)という書店員の告白(?)や、
「アマゾンは、24時間以内に300〜500人の人が一斉に買ってくれますと、ランキングが1桁台になります」(P47)、
「『夢をかなえるゾウ』で、1年間、書店の全国行脚した水野敬也さんの努力に比べれば、まだまだ甘いです」P185
 と言った、本マーケティングの裏側に始まり、
「新書は、「ひとつのメッセージや主題をわかりやすく絞ったものを届ける」P165という書き方の戦術まで。
 
 数ある著者の一人としては、「こんな話を800円で教えてもらっていいのだろうか」という感謝の思いです。
 
 また、この本を読んで、一つ重要なことを知りました。
 私たちの「全国『一の宮』徹底ガイド」は刊行数か月後に増刷がかかりました。PHP文庫は毎月15点くらい新刊が出ますが、増刷されるのは、そのうち、せいぜい1、2冊。書店でチェックしたところ、1冊も増刷がかからない月もあるようです。

 そういう事情を知らないので、冒頭に書いたように「行動を移す本」にこだわったため、すべての神社に地図イラストを作成してもらい、折り込みの日本地図までつけてもらいました。
 そのため値段は760円とその月に出た「同期」たちに比べて頭一つ値段が高くなってしまったのです。
 
 「これは無理だな」と色々な人に言われ、そして私たちも少し思ってしまいました。
 が、フタを開けてみると、そこそこ売れたようで、年末に増刷の連絡が来ました。「きっと、読者にアクションを起こすという仕掛けが成功したんだ」「私たちはすごい」。正直調子に乗っていました・・・。

 そんなときに勝間さんの本の一節を読みました。
 
 「ちなみに、この本(*勝間さんのデビュー作の『インディでいこう!』)は干場さんの読みどおり、当初は1万部も売れませんでした。1回だけ増刷がかかったので、「内部人件費は出ないけれども、印刷代と広告費くらいはなんとかまかなえた」くらいのレベルだったそうです」(P155)

 ガーン!
 私たちの本は1回だけの増刷です。それでも、いいでしょう、増刷したんだからと思い上がっていました。担当編集者さま、版元さま大変な思い上がり失礼しました。
 でもデビュー作の比較では勝間さんよりも多い部数(文庫なので当然ですが)だったということはちょっとうれしいです。
 
 何回増刷すると、出版社にとって利益になるのか分かりませんが、今月出す本は勝間さんのアドバイスをできるだけ実行して、売る努力をしようと思います。
 
 著者が流通にまで責任を持ち、目を向けることが、より売れる本=読者のニーズに応える本を作ることにつながるはず。そうした著者が増えていけば、苦境と言われる活字の世界にもきっと光が差し込むのではないでしょうか。

 勝間さんが主導するチャリティブックプログラム「Chabo!」にいつか仲間入りできるよう頑張っていきます。

参考(宣伝?)『全国「一の宮」徹底ガイド』

全国「一の宮」徹底ガイド (PHP文庫)

全国「一の宮」徹底ガイド (PHP文庫)