歴史ニュースウォーカー

歴史作家の恵美嘉樹が歴史のニュースや本の世界を歩く記録です

震災・環境

「日本」の母卑弥呼をつくった弥生時代の大飢饉

歴史は繰り返す、とよく聞きます。 人は同じことを繰り返すかというと、 「いやいや、人類は進歩していく」と考えたいところですが、 保護主義と自由貿易主義を繰り返すアメリカの「歴史は繰り返す」を見るに、やっぱり、どちらかというと繰り返すんじゃない…

源頼朝の背中を押した東海地震?正義の蘇我氏を倒したクーデター

きょう(2013年7月12日)は、源頼朝が征夷大将軍に任じられた日です。 1192で有名なあれです。(関連エントリーそれでも「イイクニつくろう鎌倉幕府」が正しい、たった一つの理由【続編追加】 - 歴史ニュースウォーカー) 貴族の世から武士の世という変…

「沼なんとかならアウト!?緑が丘は安全?!」地名と災害に相関性はどの程度あるのか

きのう(2013年6月29日)の新聞で、くしくも産経新聞と朝日新聞が「地名」と「被災」の関係についての記事を載せていました。 産経新聞はWEBで見ることができます。 筑波大名誉教授(教育学)でノンフィクション作家の谷川彰英氏は「隠れた危険エリア」を指…

長期的に復興の核となる遺跡や歴史が、復興のさまたげと言われないために

東日本大震災の被災地である太平洋沿岸では、高台への集落移転が進められています。その移転先の高台には、昔からなぜか縄文時代の遺跡があることで知られていました。 温暖化で海が上昇する「縄文海進」では説明ができないほどの高さの地形に、海産を主体と…

淡路地震の翌日に読んだ歴史地震の新聞書評

今週日曜日(2013年4月14日)の新聞書評面は、淡路地震の日(たまたまでしょうが)ということもあって、歴史地震の関係の書評が目に付きました。 毎日新聞は、「武士の家計簿」の磯田道史さんが新たに評者となって、 保立道久,平川 新,成田龍一ほか『日本列…

箱根駅伝も箱根八里の半次郎も、みんな平安時代の富士山噴火で生まれた

富士山というのは、活火山です。 かつて「休火山」という扱いでしたが、もう富士山については誤解させる休火山と呼ぶのは止めようとなっています。富士山だけでなく、全国の火山もいまや「休火山」はありません。 例えば岐阜・石川にまたがる日本3大霊山の白…

震災時に岩手県が文化庁の「文化財レスキュー」のことを市町村に伝えていなかったとの報道

東日本大震災での文化財を救出する国の「文化財レスキュー事業」のことを、岩手県が、各市町村へ伝えていなかったと、きょう(2013年2月18日)の読売新聞が報じています。 県の対応の「不備」によって、津波で劣化した文化財を破棄するなどの自治体が…

地震予知をした戦前と戦後の二人の「今村」さん

ロシアの隕石の映像は、映画「アルマゲドン」を思い出した人もいると思いますが、恵美嘉樹は同じ頃に同じネタで公開された「ディープインパクト」を思い出しました。ディープ・インパクト [DVD]出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジ…

陸前高田の「奇跡の一本松」がふるさとに帰る。高田松原は人工林。350年前に植えられた1本目の松とは

陸前高田市の「奇跡の一本松」(昨年5月に枯死)が保存処理を終えて、再び立ち上がる作業が始まっています。共同通信によると、きょう(2013年2月12日)から松の根の部分がふるさとに戻ったそうです。 高田松原は、弓状に延びる1・8キロの砂浜の上…

青森の大間原発近くで津波堆積物調査はじまる。が、電源開発のコメントがちょっと汗

電源開発が昨日(2013年2月6日)マスコミに、青森県大間町に建設中の大間原発の近くで行っている津波堆積物調査を公開しました。きょうから掘削を始めるそうです。 こうした津波堆積物の調査は、過去の津波を知るもっとも基本で、確度の高いものです。ただ、…

マヤ暦より怖い。人類をあっさり滅亡させる5つのスーパーサイヤ人級の天災とは【ネイチャーを翻訳こんにゃく】

photo by Kevin Labianco イギリスの科学誌「ネイチャー」(2013年1月8日号)では、「惑星規模の天災―それはある日必ず起こる」という歴史災害についての記事(英文)を載せています。取り上げられているのは、 メガ級の山体崩壊が引き起こす津波 超巨大な火…

3・11の大震災で被災した宮城県の元遊郭が解体の危機で募金募集【目標1000万】

東日本大震災で被災した宮城県塩釜市にある幕末ごろに建てられた元遊郭の建物が、解体の危機となっていて、文化財保存の地元団体が募金を集めています。 河北新報のきょう(2013年1月13日)の報道によると、津波で一部が浸水し、現在はお茶さん「松亀園」(…

文化庁が被災文化財レスキューの常設の組織を創設へ

文化庁が、将来起こる巨大地震などに備え、被災地の文化財レスキューを担当する常設の組織を作ることになりました。読売新聞がきょう(2013年1月5日)報道しています。 現在、東日本大震災のレスキューは今年度で終了するため、引き続き、近い将来に想定され…

尖閣諸島にアホウドリ居住。ぜひカッカしている中国の船団もこの

尖閣諸島には、21世紀になって、特別天然記念物のアホウドリが住み着いているのが確認されたそうです。地元の八重山毎日新聞がきょう(2013年1月2日)ニュースにしています。photo by libraryman 2001年の12月、北小島で卵を抱いていると思われる1羽のアホ…

地震の「予知」に歴史学、地質学など「文系」の研究を国が取り入れていく第一歩

今回はクイズから一転、硬派ネタです。きのう(2012年12月28日)、文部科学省の審議会である「科学技術・学術審議会 測地学分科会地震火山部会 次期研究計画検討委員会」 の1回目の会合が開かれました。「じゅげむじゅげむ」みたいな長〜い名前ですが、歴史…

【吉報】高田松原の松の新芽が見つかる。一方、ご神木枯死事件は同様例が四国中心に14本【悲報続報】

東日本大震災で、多くの人命とともに、名勝だった松並木「高田松原」も流された岩手県陸前高田市で、クロマツの新芽が出ているのが見つかりました。最後まで立っていた「奇跡の一本松」も根が腐り、枯死してしまいましたが、生命力の強さには感動すら覚えま…

【日本版ポンペイ続報】また火砕流の火山灰から人骨が出た【群馬・金井東裏遺跡】

よろいを着たまま榛名山噴火の火砕流にのみ込まれた男の人骨が見つかった群馬県渋川市の金井東裏遺跡で、同じ時期(6世紀初め)の別の人骨が見つかったと、今日(2012年12月21日)県埋蔵文化財調査事業団が発表しました。よろい男からは19メートル離れていま…

6000年間の南海トラフ地震での津波痕跡が見つかる。巨大津波は15回、300〜500年間隔、前回の巨大津波は300年前なので次がヤバイ

高知大学の岡村眞特任教授の研究グループが、土佐市の池の底に積もった津波堆積物を分析したところ、過去6000年間に、巨大津波が15回、定期的に起きてきたことを明らかにしました。 南海地震はおよそ100年ごとに起きていますが、そのうち東日本大震…

【大地震時代】あの大陸プレートが分裂中?ヒマラヤ山脈つくるパワーの結果・・・

「大陸」が動いているというのは、きっと地震の少ない欧米や中国の人は、ほとんど知らないかもしれませんね。進化論すら信じない人もいるくらいですから。nature (ネイチャー) ダイジェスト 2012年 12月号 [雑誌]出版社/メーカー: ネイチャー・ジャパン発売…

【知ってた速報】敦賀原発(福井県)で5500年前の津波の痕跡がはじめて見つかる

千年震災作者: 都司嘉宣出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2011/05/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る マスコミ各社の報道によるときょう(2012年12月18日)、敦賀原発で約5500年前の…

【号外も出た】群馬で古墳時代の甲を着たままの人物が火山灰に埋まっていた!日本初!【日本版ポンペイ】

群馬県の榛名山は、6世紀に2度大噴火し、群馬県の平野部に大量の火山灰をふらせ、一帯を「ポンペイ」としました。当時そのままの豪族の家、田畑や馬の足跡など、たくさんの生々しい痕跡を残しています。 2回目(6世紀末)の火山噴火によって生まれたのが…

日本三大津波にやばい原発は浜岡、伊方、あとは? いつの間にか東大を定年退職していた歴史地震研究者の都司氏からの問題

3・11以来、注目されたのが、過去の地震と津波です。 なかでも東大地震研究所の准教授の都司嘉宣さんは、そのトップランナーながら、東日本大震災以前はほとんど知られていなかった存在でした。歴史学界の中でも、東大地震研所属という「理系」のフィール…

 きょうの歴史ニュースアラカルトは、「震災小特集」です

きょうもたまった歴史ニュースを小出しに、蔵出し! 第一特集が「震災」、第二特集が「水」、第三特集が「世界遺産」そして、最後は時代ごと、のラインナップです。 原稿用紙なんと25枚分!ごゆっくりお読みください。 まずは、地域の誇りをとりもどそうと…

画期的!液状化現象、津波石が「天然記念物」に指定。縄文発祥の地、西南戦争も史跡に

文化庁の文化審議会が16日、史跡、天然記念物などの指定答申をしました。世間は、解散で大騒ぎですが、今回の指定は近年まれにみるかなりニュースな要素が多いのです。ニュースにならないでしょうが。というわけで恵美嘉樹が重要な指定物件について解説し…

-古代マヤ滅亡は気象変動が理由か

古代マヤが滅亡したのは気象変動が原因という話を、アメリカの科学雑誌サイエンスが8日付けで載せています。♥ photo:Tikal, Guatemala by szeke=写真はグアテマラの世界遺産ティカル遺跡 アメリカ大陸には、いろんな滅びし文明があるので、どれがどこの国か…

7万年前の超大噴火の影響は予想より小さい?

♥ photo:Lake Toba - Dark Clouds above the Lake by Drriss ネアンデルタール人など旧人は、だいたい15万年前から3万数千年前まで、我々のご先祖の人類「新人」ととともに生きていました。 新人がアフリカを出て、全世界に拡散したのが約10万年前。 そ…

母なる星「太陽」の謎に迫る名古屋大宇宙地球物理学系の教授・草野完也さんが、太陽フレアの予測方法を開発しました

♥ photo:Burst around the Corner by NASA Goddard Photo and Video 英語誌「アストロフィジカルジャーナル」(11月20日号)のWEBに掲載されています。 太陽フレアは、太陽の表面上でまるで龍のように大爆発する現象で、太陽系の中で最も強力で破壊的…

青森の湖でも津波の痕跡を調べる調査はじまる

福井の三方五湖と同じ方法ですね。歴史界のネトウヨとして知られる、いや、環境考古学の国内第一人者の安田喜憲さんの研究グループです。 伊達政宗の時代に、東北を津波が襲った慶長大地震の可能性のある堆積層も見つけたのだとか。 どうでもいいですが、こ…

アイヌその2 17世紀にアイヌを襲った山の崩壊が引き起こした津波の痕発見

前回は、アイヌ人は縄文人と同じように狩猟採集の生活をしているけど、縄文文化の後継者ではなく、むしろ「生産」よりも「(現代風にいえば)金融」に特化した、非常に国際感覚と経済感覚に秀でた人たちだったと恵美なりの結論を出しました。で残された問題…

日本最大のお墓「仁徳天皇陵古墳」は過去の大地震で崩壊

東日本大震災以来、過去に日本の各地で大地震が起きていたという当たり前のことがようやく認識されるようになりました。 日本最大のお墓「仁徳陵古墳」(大仙古墳、大山古墳、だいせん)も古墳の「山裾」が崩れていて、今なら「そりゃ地震のせいでしょう」と…